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第一章~高校2年生・春~11
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「久夜、この後のこと。」
「あ、はい!今いきます!」
世那先輩に呼ばれて行けば、副部長の翼先輩も一緒にいて。
「あれ、何か吹っ切れた顔してる。」
「色々、決心がついた感じです。」
「梁瀬は相変わらず死んでるけどな。お前あれフォローしとけよ?」
「分かっとりますよ。」
「ちゃんとフォローしとかないと他の部員に先越されるよ~久夜がいつも牽制してるけど今日はそれもないし。
廣川狙いの部員結構いるからね~気を付けなよ。」
……世那先輩と翼先輩の両方に弄られるんはもう慣れた。
わりと部活公認のカップルなんやと思うけど、梁瀬と一緒にいる時は皆いじってこない。
俺1人ん時だけいじってくる。
多分梁瀬の方は1人でいても特に何も言われてないやろ。
……皆梁瀬のこと好きすぎんねん。
梁瀬の方を見てみれば、明らかに元気がなくて、その周りで先輩達が声をかけていた。
あーゆーのも苛立つねんなぁ……
「そうそう、久夜。今日はAGは部活休みね。BGとCGだけ基礎練からやらせるから。」
「……え、俺ら何するんです?」
「新入生勧誘の準備。これ毎年AGがやる決まりなの。で、実演組とかパンフ組とかに分かれるんだけど……
久夜は廣川の手伝いね。洗濯系1人だと結構大変だから。」
「…はぁ。」
「反応が薄いな。まぁ久夜には実演組入ってもらうと思うからそれだけ覚えておいて。」
「はい。」
……めっさ気を使われてるゆーことやね。
世那先輩もいじる分優しいなぁ…
バスケ部は本当いい人ばっかや。
昔から。今も。
俺にしたように部員を集めて指示をした世那先輩の話を聞いてから、梁瀬の元に行く。
洗濯機を回しながら、部室の掃除をする梁瀬の後ろ姿は寂しそうで。
勝手な思い込みかもしれへんけど、そう思った。
「梁瀬。」
「わっ?!ひ、久夜…AGは新歓準備じゃなかった?」
「世那先輩からの指示。今日は梁瀬の手伝いやって。」
「……そうなんだ。そっか…」
納得するように頷いた梁瀬は、そのまま洗濯の終わったタオルを干すのを手伝って、と言った。
「梁瀬、今日俺んちこーへん?」
「久夜の家?でも八尋先輩もいるんじゃないの?」
「今更やん。兄貴も喜ぶと思うし……話したいこと、あんねん。」
緊張して乾いた声しかでなかった。
水分はとってたはずなのに喉はカラカラで。
多分、今までで一番、断れたくないって思った。
「…うん。」
小さく頷いた梁瀬は、それでも俺と目を合わせようとはしなかった。
断られなかっただけ、マシやろか。
心に少し残った寂しさは、知らないふりをした。
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