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第一章〜高校2年生・春〜17
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ご飯を食べて、片付けを手伝うと言っても八尋先輩に断られてしまった。
先にお風呂入ってきなって言われてどうしようか悩んでたら久夜にバスタオルとか一式渡された。
これは完全に先にお風呂入れってことだ。
1階の方お湯張ってあるから浸かってきな、とまで八尋先輩に言われてしまえば断る選択肢はなくて。
広々とした1階のお風呂は1人で入ると居たたまれなくなるくらいで萎縮してしまう。
大きい鏡に大きいお風呂。
いつか久夜と入った時には感じなかった広さ。
...そう言えば初めてここのお風呂入ったの、久夜と一緒だったな。なんてふと思い出す。
上のシャワーだけなら1人で使ったことあるけど、ここのお風呂はいつも久夜と一緒だった。
こんなに違うものなんだ。
寂しくなって、いつもの倍くらいの早さでお風呂を出た。
「あれ、梁瀬早くね?ちゃんとあったまったか?」
「はい。...1人だと広すぎて寂しくて。」
「あー確かにな。それもそうだ。それ久夜にも言ってやりな。あいつきっと喜ぶよ。」
「...ですかね?」
「あぁ。早く仲直り出来るといいな。」
「...はい。」
廊下ですれ違った八尋先輩は笑っておやすみと言うと階段を降りてった。
リビングにまだ千先輩がいたのかもしれない。
おやすみなさい、って言い損ねた。
八尋先輩が見えなくなってから久夜の部屋に向かう。
部屋の前はとてつもなく緊張して、ノックしようとする手が震えた。
大丈夫、好きな気持ちを貫くだけ。それだけ。
ノックするとドアの向こうで久夜が動く気配がした。
静かにドアを開けると、すぐ近くにいた久夜と目があった。
不安そうに揺れた久夜の瞳に、俺の姿が映る。
俺は今、どんな顔をしてるんだろう。
久夜の瞳で揺れる俺はちゃんと想いを伝えられるのだろうか。
「...ちゃんとあったまってきた?」
「うん。」
「そないなとこ立ってないで入り。」
「うん。」
久夜に手を引かれ部屋の中、ベッドの所まで行く。
ベッドの下に座るよう俺に促すと、久夜はドライヤーを取り出してベッドに座りながら俺の髪に温風を当てる。
何も言わなかったけど、それはいつもえっちをする前に久夜がすることで。
いつもと同じ久夜の行動に少しだけ安心した。
俺がお風呂に入ってる間に久夜も2階でシャワーを浴びたかもしれないと気づいたのはそのすぐあとで。
だったら一緒に入れば良かったのに。なんて思ってしまった。
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