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第一章〜高校2年生・春〜18
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暖かい風が髪を乾かして、久夜の大きな手が俺の髪を梳く。
その手が気持ちよくて揺らぐ。
きっかけを失った俺は声を出そうとして、でも何て言えば分からなくて黙る。
それを繰り返してたらドライヤーの音が消えた。
ちゃんと乾いた髪を久夜がまた梳く。
心地いい。出来るなら今日もこのまま久夜とえっちがしたい。
でも今日はダメだ。
話さなきゃいけない。
久夜と俺の、未来は一緒であってほしいから。
「...久夜、あのね。俺......、」
「ええよ。無理せんで。先に謝らせて。
今日は本当ごめんなぁ。...あんなこと、言うつもりもするつもりも無かった、なんて言っても言い訳やね。
本当ごめん。」
「謝らなくても、俺は...」
「ダメやで。そうゆうのはちゃんとせぇへんと。
俺のこと甘やかさんで。」
甘やかすつもりなんてない。って言っても久夜は聞かないんだろうな。
立ち上がって久夜の方を向けば、俯いてて表情はよく見えなかった。
ドライヤーをベッドの横に置いた久夜の手をとると久夜は顔を上げた。
目が合って、でもその表情は読み取れない。
「前に...、八尋さんが親父の前妻の子ゆう話はしたことあったよな?
後妻の子が俺ってゆう話もしたと思うんやけど...。」
また目を伏せた久夜は静かに話し出す。
前妻と後妻の話は1年前くらいに聞いたことがあった。
「ちょうど、中学2年の冬くらいやったかな。
その時はもう親父と母さんは離婚してて何年か経ってたんやけど、その時はまだ親父を尊敬しとった頃でプロバスケ選手だったのが憧れで自慢やった。
でもその時に俺に兄ちゃんがいる事を聞いたん。
進路に悩んでた時期だったからやろか、母さんが話してくれたん。離婚した親父の前の奥さんの子供が高藤にいるから見に行けばゆうてな。
せやけど...」
そう言って区切った久夜の言葉は酷く沈んでいた。
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