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目覚めたら……
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明るい、眩しい。
瞼はまだ閉じたままだけど、秀はそんな風に感じた。
隣に暖かい体温。
「ん……」
パチパチと瞬きをする。俺、いつ寝たんだ、秀の思考は止まったままだ。
「秀、起きた?」
優しい声が、暖かな体温の方から聞こえてくる。
「ゆうや……?」
掠れてる自分の声に、秀は首を傾げた。
だんだん、色々と思い出すにつれて、秀の顔が真っ赤になって行く。
秀を抱き込んでいる腕は、祐也のものだ。それは間違いない。
ただ、二人とも、服を着ていた。
あれだけ汗を流したのに、それ以外のモノもあったけど。体は綺麗にされていて、シーツも綺麗だ。
祐也の方が身長はあるが、秀も小柄なわけではない。
「っっ……」
慌てて、祐也から離れようとしたものの、祐也の腕からは抜け出せなかった。
「秀、体平気?」
真っ赤になって、言葉を失っている秀に、祐也は秀がちゃんと思い出したな、と気付く。
秀としては、頭がぼんやりした中で言ってしまったこととか、全部忘れてたら良かったのに、だ。なんで、全部覚えているんだ。こんなところまで、記憶力が良いとか、いらない。
「秀?」
サラリと頭を撫でられて、祐也に質問されていたことを思い出す秀。
「体って……」
カラカラの喉は、ひきつれたように感じる。
体を動かそうとして、秀は腰にとんでもない鈍痛が走った。あり得ない場所までが、痛い。
否、そこに祐也を受け入れていたのだから、痛みが有っても……。思い出すな俺、秀の顔がさらに赤くなる。
「とりあえず、水。飲める?」
サイドチェストに置いておいたのだろう。祐也が秀に水のペットボトルを手渡してきた。
だがしかし、起き上がれそうにない。
秀が戸惑ったまま、祐也を見た。
「あ、やっとこっち向いてくれた。起き上がれる?」
祐也は嬉しそうに笑っている。
その問いに、秀は素直に首を振った。
「うん。じゃ、こうしよう」
そう言って、祐也が取った体勢は、秀を自分にもたれさせて座らせる体勢。
起き上がらせる時に、秀の体に負担がかからないように、極力注意して。
祐也の足の間に座らされて、背中に祐也の温もりが有る体勢に、秀は更に困惑する。
「ゆうや……」
どうしたら、良いのだろう。こんな体勢恥ずかしい以外の何者でもない。
「とりあえず、水飲もっか。秀の声が嗄れてるの、すっごい辛いから」
元凶は、そんなこと言ってる祐也なんだけど、と秀は思いながら、ペットボトルの蓋を開けようとして、力が全く入らないことに気付く。
さっきから、祐也にされるままで。そういえば、離れようとした時も、全く腕に力が無かったから、離れることが叶わなかったのだと、思い至る秀。
「あぁ、ごめん。蓋開けるよ」
気付いた祐也が、サッと秀からペットボトルを取って行く。
もう一度渡された時には、もう蓋は着いていなかった。
恥ずかしいので、後ろは振り向けない秀。
「ありがと」
小さくお礼を言っていたけど。考えれば考えるだけ、元凶は祐也だ。
たしかに、自分も嫌だとは言わなかったし、祐也を突き放すことをしなかったのだから、祐也だけが悪いわけだもないけど。秀はそう思いながら、水を飲む。
乾いた喉に、水が心地よかった。
冷たい水が体に入ることで、熱くなった顔が、少しマシになった気もする。
「お腹痛いとか、ない?平気?」
何故に、腹痛の心配が出てくるのだろうか。
腰とかは痛いが、腹痛はないので、秀は首を振って答えた。
「良かった。俺ローション使うまではちゃんとしてたのに。生でヤった挙句、中出ししたから……ちょ、秀、ごめん。悪かったから水かけないで」
とんでもないことを言い出した祐也に、ペットボトルの残りの水をかけていた秀。
後ろを振り向けないとか、腰が痛いとか、そんなことは、どこかに吹き飛んでいた。
中で出された場合、しっかり掻き出さないと、体に良くないことくらい、秀も知っている。
ちょっと待て、それが無いし、体も綺麗にされているということは……。
再度真っ赤になって、秀は空になったペットボトルを祐也に投げつけていた。この際、力が入らないとか、どうこうは脇に押しやった。
至近距離だった為に、スコンと音を立てて祐也の頭にペットボトルは当たった。
「馬鹿だろ、わざわざ言うな」
ムスッとした秀がやっと口を開いた。
祐也は、秀の体に負担にならないように、秀の体を横向きのまま、座らせた。
「ごめんって。途中から俺理性崩壊してたんだよ。それで秀に余計な負担かけたって思ったからさ」
横向きの秀を、祐也はギュウと抱き締める。
何ともないのが良かったと思いつつ。秀の相変わらずの可愛い反撃に、祐也はニヤニヤしてしまっている。
いや、水かけられたのは、ちょっと焦ったけどさ。でも、ほとんどの水は秀が飲み切った後だったから、それほど濡れたわけでもない。
「別に俺、嫌だって言ってない」
ムスッとしたまま、秀は祐也に言う。
秀のその返答に、祐也はさらにニヤニヤしてしまう。いや、もはや、ニタニタかもしれない。
嫌だと言うどころか、秀は祐也を頑張って受け入れようとしてくれていた。痛みとか、絶対にあったのに。それを祐也は、しっかりと感じている。
今不機嫌そうに見えるのは、恥ずかしいことを隠す為だろう。
「そうだよね、嫌だって言ってないもんね。それどころか、抱き着いて……痛い痛い、秀。ごめん、ごめん」
さらに秀の恥ずかしさを煽ってくるような、祐也の言葉。秀は遠慮なく、自分を抱き締めている裕也の手を抓った。
水分を補給したからか、秀の体の力は少しは戻ってきたらしい。否、祐也が馬鹿なことを言ってくるからかと、秀は思う。
祐也としたら、さっきの秀も可愛かったけど、今の秀の反応も可愛いとしか言えないのだ。
必死に抱き着いて、どうにかしようとしていた秀。ハジメテで、わけがわからなくなってただろうに、祐也の与える快楽に、甘い声を上げていた秀。
想像……いや、妄想なんて、霞んでしまうくらいの、乱れた秀は綺麗だったと、祐也は思う。現実をみたら、妄想なんて、全く意味なかった。
まぁ、これからは、現実の秀を思い出して、妄想しそうだ、とは祐也は思うのだけど。
恥ずかしがるのも可愛いんだけど。これ以上言っていたら、秀が本当に不機嫌になって、言葉を発しなくなる気がするので……今もあんまりしゃべってくれないけど。祐也は別のことに移行することにした。
「秀、お腹すいてない?」
結局、帰ってからそのまま襲ってしまったので、夕飯は食べていない。
秀が寝ている間、傍を離れたくは無かったが、簡単に夕食を作っていた祐也。
ふと秀は、言われて部屋に置いてあるデジタル時計を見た。
午後二十一時。
どれだけの時間寝ていたのか。秀には時間の感覚が、どこかへ行ってしまっていた。
怠い体は、睡眠を欲してもいたけど、空腹なのもたしかだ。
「すいてるけど、動きたくない」
秀の言葉は、祐也には自分に甘えてくれていると、思わせるもの。
「うん。じゃ、ここ少し硬いかもだけど、もたれてて」
ベッドヘッドに、とりあえず枕でなんとか楽に体勢が取れるようにして。秀をもたれさせる。
やっぱ、クッション必要だ。祐也はそう思った。枕以外にも、クッションが有ったなら、ベッドヘッドが覆えたのに、だ。
暖めたご飯を、サイドチェストに用意する。机より手狭すぎるが。
秀は何も言わずに、祐也が動くのを見ていた。用意が終わったらしい祐也が、また秀を後ろから抱き締める体勢に戻る。
「何で、この体勢なんだ?」
心底不思議そうな秀。たしかに机に向かえるだけの気力はないから、ベッドでご飯を食べるのも、行儀は悪いが許してくれるのだろう。そこにご飯を用意してくれたことでわかる。
でもこの体勢では、祐也が食べ辛いのでは?と秀は思う。
「背中硬かったら、秀辛いでしょ」
秀を思っての体勢だ、と祐也は言い切る。
待てよ、クッション買ったら、この体勢できなくなる?祐也は少し考えるが、どうしても自分が動く時に、秀には負担になる、と考えると、やっぱり有った方が良いなとも思うのだ。
「こっち向きの方が良いか」
そう言って、祐也はサイドチェストに向かうように、座り直させてくれる。
「俺は、楽で良いけど、祐也辛くないのか?」
もたれさせてくれるのは、楽で良いのだが。秀だって小柄なわけではないので。
「俺は秀が体もたれさせて、俺に寄りかかってくれてるのが、嬉しい」
なんでもないことのように、祐也は返答する。
秀は改めて祐也に甘えているのが恥ずかしくなり「ふーん」と言っただけに止めた。
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