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お家でのんびり
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「ううーん。合宿行ってたから、家が埃っぽく思える」
帰って来た。俺の家に。
秀をちゃっかり連れて帰って来たけど。一週間と長く開けたせいで、若干埃っぽかった。
ちょっと暑いけど、窓全開にして、洗濯物の入った鞄はそのまま洗濯機の近くに置いて。
秀は帰る前に寄ったスーパーで買った袋を、持って来てくれた。さすがに楽器と、着替え入った鞄と。って持ったら持てなくて、スッと横から手を出して、秀が持ってくれたのだ。それを受け取って、冷蔵庫にしまうものはしまう。
「お疲れ」
そう言って、秀にコーヒーを渡して、やっと一息。
埃っぽさ無くなったから、窓を閉めてエアコンを付ける。
「今まで気にしなかったけど、もしかして、秀ってエアコンとか苦手?」
霊安寺は、自然に任せてって感じに、エアコンの無い部屋だった。
たまにいるよね。クーラー利きすぎで寒いって言う人。今まで言われたことはなかったけど。体感温度は、人によって違うしなぁ。
「苦手じゃない。今の家には付いてるし、俺も家ではエアコン付けるぞ普通に。霊安寺は、暑いのもまた修行なんだとか言ってたな、住職が」
そう言えば、霊安寺にいたのに、住職に会えないままだったなぁ。
そこは残念。秀の小っちゃい頃の事とか、聞いてみたかったな。
「話し聞くだけだと、奔放な人っていうのは、わかるんだけど」
実際会ってないから、どんな人なのかなって思う。
「自由奔放で、気紛れな人だ。冬の海に修行だって言って、放り込まれたから、俺は今でも海に入るのは嫌だ」
ちょ、ええええ。何してるの住職。
「それは……大丈夫だったことを、喜ぶべきなんだろうか」
どう言ったら良いのか、わからないよ。
「まぁ、そうかもな。あの時は本気で、死んだら住職を呪うとか思った」
そりゃ呪うわ。びっくりだわ。
いつぐらいの時の事かはわからないけど、冬の海が冷たくて辛いのは、よくわかる。あと、海が荒れてる時だと、確実にヤバいじゃないか。
「山だったら、確実に山の中置き去りとか、されてたな」
ボソッと呟いた秀の言葉に、もう俺は唖然とするしかなかった。
山に置き去り……。冬の海に放り込まれるのと、どっちがマシなんだろう。
どっちも嫌だが。俺だったら、生きてない。
「そいやぁ夏合宿の割に、何か皆でやるとか無かったね」
俺は話しを変える事にする。
聞いてたら、怖い。秀が生きてて良かった、と思える事とか、聞きたくないよ。
「あぁ、肝試し案は有ったらしいが、住職が許可しなかったんだ」
それは、寺で肝試しとか、シャレにならんよな。
「バーベキューとかでも、良かったじゃん。やんなかったけど」
夏と言えば、たしかに肝試しかもしれないが。
「食材の問題だったんじゃないのか?ほとんどが楽器も持ってくるんだし、食材も持ってとかだと移動が大変だろう」
「あぁ、そういえば。車だったの俺らくらい?」
俺らだって、行きは電車で最寄り駅で秀に拾ってもらったわけだし。
俺たちも苦労した荷物運び。そこに食材が入ってたら、たしかに大変過ぎる。
「そうだったかも?そこまでは知らない。ただ、車で行けるバンドで、食材持ち込んでも良かったかもしれないが。夏だと食中毒とか有るからな」
俺たちが帰ったのは、全員が帰ってから暫くしてからだ。
他の連中が、どうやって着てたとか、ちゃんと見ていない。
行きも、俺たちが最初に着いてたみたいだし。
「あー、なるほど。現地調達って手も有ったかもだけど。その為に車出せとか言われても、嫌だしなぁ」
多分、秀は集まり自体嫌がるだろうし。
そう考えたら、無かった方が良かったのかも?
「民宿から、バーベキュー用に食材出してくれ、とか言われたらしいが。それも結局住職が駄目だって言ったんだよ。というか、肝試しも、バーベキューも、言い出したのは岬さんらしいけど」
「いやいやいやいや、やるなら自分たちで調達できる環境でやろうと思えよ。寺で肝試しも駄目なの当たり前じゃん」
何してんの、あの人。
民宿だって、調理用に食材考えて入荷してるんだろうし、学生に分けるなんて無理でしょ。
考えたらわかるのになぁ。
「先輩は、最初から肝試しの許可は下りないだろう、ってわかってたみたいだったな。岬さんがうるさく言ってくるから、仕方なしに聞きに来たって感じだったし」
それは、俺でもわかるよ。
たしかに定番かもだけど、場所を考えようよ、場所を。
「バーベキューに関しては、近場に食材調達できる場所ないか、って聞きにきてたか。民宿とかばっかだから、そういう場所がないって可奈さんが答えて。そしたら、一緒に来てた岬さんが、食材分けてくれって言い出して、慌てて先輩が止めて帰って行ったって聞いた。まぁ、可奈さん優しいから、その後に住職に聞きに来たから、知ってるんだけど」
と秀は話す。
「あれ、その場見てたの?」
「否、後から住職に聞いた」
見てたわけでもないけど、詳しいのは住職に聞いたからか。
昼間たまに霊安寺に戻ってた秀は、住職に会って話しをする時間が有ったんだろう。
「うん?ってことは、先輩は始めからそういう企画、考えてはいなかったんだ?」
事前準備してたら、なんとかバーベキューは出来ただろう。海だし。
事前に言われてたら、車組みが金集めて食材持ち込みして、一日目にやればさほど問題では無かっただろう。
「考えてたら、事前に連絡回ってるだろ。しかもスタジオ練習時間、きっちり決めてたし。夜の空いた時間入りたいバンドがいたら、入れるようにするってのは、最初からそういうの考えて無かったんじゃないか?」
「言われてみれば」
たしかにその通りだな。と頷く。
抜かりない先輩たちが、事前に連絡しないとか、あり得ないし。一日目にバーベキューやるにしても、いつ合宿する民宿に着いても良いなんて、曖昧なことにはなってなかっただろう。
「岬さんも、そういうのやりたければ、事前に先輩に言えば良いのに。その場で言うとか、準備の事考えて無いね」
「そうだな」
俺が言ったことに、今度は秀が頷いている。
元々がバンドの強化だから、先輩たちはきっと練習の事以外、考えなかったんだろう。
「俺は秀とはそういう事したかったけど、他の人たちも一緒じゃなくて、二人でが良いなぁ」
ボソッと言う。ボソッと。
この辺の夏祭りの情報なんかも、入手したけど。人混みすごそうだし。秀嫌がるかな。
「二人だけ、なら良いな」
そう言って笑った秀に、俺はクラッときました。
さすがに合宿中は、結構耐えた。頑張った俺。最初の時の耐えた分が、一回爆発したけど。いや、正直に言ったら、一日だけじゃなかたけど。でも、毎日はしなかった。耐え抜いた。
で、ぐいっと秀を抱き寄せてても、俺は悪くない。
「ん、ちょ、ちょっと、待て。祐也」
キスしたら、拒否られました。
グッと腕に力入れて、体離そうとしてくるから、仕方なくキスは止めたけど、抱き締める腕は離してやらない。
「何が、駄目?」
俺の問いかけに、少し困った顔をする秀。
うーん。可愛い。このまま押し倒したいんだけど、なぁ。
「キスだけで、終わらないだろ」
「うん。そうだね」
逡巡した秀の問いに、間髪入れずに答えた俺。
本能むき出しだね。今更か。
「着替え、無い」
服の着替えが無い……たしかに、秀の荷物は俺の部屋には持って来てないが。そもそも、秀の荷物に、着替えが無かった。
霊安寺には、常備秀の服が置いてあるらしいし。部屋があるくらいだから、それは普通か。着物が楽だとか言ってたから、着物でいることが多いんだろうこともわかってる。
「うん?帰らなきゃ駄目とかじゃ、ないんだよね?」
着替えの心配か。俺は家に帰らなきゃいけないからかと、一瞬思った。
「家は別に大丈夫だけど」
なら、問題なくね?
「服は俺の貸すよ」
だから、これ以上は封じた。
というか、いつも俺の部屋だと抱きつぶす勢いだから、事後に秀の意識が有ったことが、あんまりない。
そのまま秀を裸のままにしとくと、俺の理性が焼き切れるので、いつも俺のスウェット着せてるし。
意識無くなるまで抱いた相手を、さらに酷使はしません。いくら俺でも。
霊安寺の時は、何とか秀も自分で服着てたけど。着物は駄目。あれはもう、襲ってくださいって言われてる気しかしない。
いや、ある意味着物最高!なのかも?
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