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次の日も猫はぶすっとした顔でしっぽを垂れ下げていた。困ったな。
「・・なあ、いい加減機嫌直してくれよ」
「なおってる」
「・・ほら、じゃあ明日な。色んな魚料理作ってやるから!」
魚という言葉にしっぽがピンとたちあがった。
・・だけど猫選手、中々しぶといです。耳がなかなか立ち上がらない・・・・まだ少し不満げな様子である。
「じゃあ後は・・。お前の行きたいとこ、いっぱい連れていってやるから!行きたいとこ、考えとけよ。」
そう言うと大きな目がこちらを向いた。何となく嬉しそうに見えるのは間違いではないと思う。・・・・だが耳は変わらず、だ。仕方ない。
「しょうがねーなー。ほら、こっちこい。」
そう言いながら冷蔵庫の前へ行くと、キラキラした目で後を付いてきた。・・・・野郎、この中に上手いもんいっぱい入ってるって知ってやがる・・
俺は冷蔵庫から袋を取り出して、それを開くと、中から個々に包装されたキャンディ型の小さなものを一つ取り出して、また袋をしまった。
「コレ、知ってるか?」
猫はスンスンと鼻を鳴らす。だがその距離は異常に近く、魚よりも反応がいいことを知る。異常なまでの食いつきようだ。ハハン、 やはりな。
「コレはな、チーズだ。」
「ちーず、たべる!」
「え、ちょ、まっ・・・・うおっ!!」
猫はその瞬発力を生かして俺の手からチーズをかっさらうと、また器用にキャンディのようにくるっと包装を解き、口に突っ込んだ。その速さわずか何秒だろうか、3秒もかかってない。
自分のほっぺたを両手で抑えなが ら、うっとりするようにチーズを咀嚼する猫の顔面は・・・・崩れている。他に形容できない。そう崩れている。溶けているといっても言いかもしれないが、そんなレベルだ。ここまで上手いのだろうか、そのチーズは。大学の友達に聞いたんだけど・・猫はチーズが好きだと。だからこないだの買い物でこっそりカゴに滑り込ませていた。だが
ここまで顔面を崩壊させてまでチーズが旨いことを表現するとは思わなかった。・・若干怖い。よだれも垂れそうな勢いで、すげーわ。チーズ。すげー。
「・・・・あ、よ、よかったな。そんな美味しくて・・」
俺の話は耳に入っていないご様子の猫さん。
まあいいけどさ・・不満がそれで直るなら・・
まだもさもさと咀嚼を続ける猫を横目に
フゥ と一度ため息をついてから朝の忙しい家事作業に戻るのだった。
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