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みこと
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ひとしきりベッドで遊んだらただでさえ疲れてた俺と猫はもうウトウト……ねむ……
でも風呂……入らないと……
「猫……風呂……」
「……スースー」
「スースーじゃねえ!棒読みやめろ。」
首ねっこを掴んでズルズルひきずる。服をひっぺがして風呂に投げ込んだ。
続いて自分の服も脱ごうとするともぞもぞ動く猫の動きが認知出来ることに気づいた。
・・・・磨りガラス?いちいちほんとこういうのいらないんだけど・・。
初めての部屋の風呂で使い勝手が分からないのかあたふた動くシルエットに少し笑いながら、俺も風呂に入った。
全部洗い終わってから、プカプカ浴槽に浮かぶサービスってかいてあるひよこをぼんやりと眺める。何のサービスなんだか・・でも家より大分でかい風呂に久しぶりにゆったりと足を伸ばす。しっぽで湯をぱしゃぱしゃさせながらひよこを追いかけてた猫の動きが、ふと 止まった。
「?どうした?のぼせたか?」
水の滴る髪を揺らしながらふるふる首を振って。
しっぽを水底に沈めて俺の足首に絡ませた。
「あの・・」
「ん?」
「おれ・・・」
もじもじしてる体を隠すように顎まで湯船に浸かった。
「金華波彦陽玉似日尊(きんかなひこようぎょくひのひのみこと)」
「・・・・・・。」
何て言いましたか。
「・・・・。」
「・・・・。」
「あの・・。」
「・・なに?」
「さきの呪文は・・」
「じゅもんじゃない!」
久々に牙を剥き出しにして怒られた。痛いのは嫌なので、背筋を伸ばして湯の中で正座をしてみる。
「あの、もう一度お願いしても宜しいでしょうか猫様。」
「金華波彦陽玉似日尊」
ハァ とため息をつかれて、もう一度言って貰ったけど、最後の みこと くらいしか聞き取れない。
「あの・・」
「なに」
「一体今の言葉はなんなのですかね・・。」
何でいきなり難しい言葉の羅列を言い出したのか。
そう聞いたら猫は、ふいっとそっぽを向きながらボソッとかろうじて聞き取れるくらいの声量で呟いた。
「・・・・・おれのなまえ。」
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