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朝
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その朝、ホテルをチェックアウトして帰りの電車に乗った。今度は寝ないように、しっかり起きてたわけでちゃんと最寄りの駅まで来れたのはいいけど。いつも みことの右手と繋がってる俺の左手は今日はブラブラと軽そうに揺れている。・・・・手持ちぶさたな左手。だけどひじの方の裾を、みことはしっかりと握っている。
「・・なあ、今日は何で手繋がないんだ?」
「べっ!・・・・べつに・・」
もごもご何か口ごもってるけど・・裾を握りしめる手に力がこもった。
「・・そんな気分なだけ?」
「うん。」
下を向いてしまったけど耳が赤くなってるのは気のせいではない気がする。何だろうな。
電車に散々揺らされて、家についた。
扇風機をつける。暑い。とりあえず暑い。
けど、
隣から鳴った腹の音にあきれながら朝ご飯を作らねばなるまい。主婦正嘉と呼んでくれてもかまわないぜ?
そして俺ももうすぐ大学が始まってしまう。長い長い大学の夏休みの思い出は今思い返すと みこととの遊びばっかりだった。・・・・こんなんでいいのか俺の大学生活。と思わなくもないけど・・まあ、しょうがない。だってコイツ俺の子供みたい。
・・この年にして息子をもった感じがするってどういうことだよ・・。
みこととの生活は一応この一年間だけだ。この大学2年生の一年間だけ。もうすぐ半年。一年なんてあっという間かもしれない。
その時俺はどう思うんだろう。
肩の荷が降りた・・かな
これでやっと食費が浮く・・とか
もしかしたら寂しくて寂しくて、叔父さんに返したくない!だったら・・おもしろいけど。
今の気持ちとしては、
俺とみことのこの生活が
楽しく安心して終えられればいい。・・なんて聖母みたいな考えだけど、
俺の作った焼き魚の朝ご飯を米粒口の端に付けながら食らいつくコイツを眺めてたら、そう思わずにはいられなくて。
今日も笑って米粒を取ってやりながら、せめてこの一年間だけでも楽しんでいられるようにしてやりてぇな、なんて思った。
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