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和
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前に電車で会った時はとても爽やかで感じの良いオニーサンだったのに。
「まあ、それよりさ。客だぜ?俺、客だぜ?なあ正嘉、冷たい茶でもくれよ。」
「ていうかこの部屋暑苦しいな・・冷房ねーの?」
「そもそもせっまい部屋だな、こんなところに一週間もいたらノイローゼになっちまうんじゃねーの。」
「ああ何だ掃除が楽ってか、なるほどなるほど。にしてもせめー・・。」
「この俺様が甲斐甲斐しくわざわざ言及してやろうってのに、速く場を整えろよ。」
・・・・・・・。30秒に一回吐き出される悪言。
「第一印象返せよ・・。」
「何か言ったか?」
「イエ、ナンデモ。」
とりあえず、コップに氷を入れて、冷蔵庫から冷えた麦茶を取り出して注ぐ。
トポトポという音を聞きながら、俺の部屋のリビングのイスに長い足を組んでふんぞり返ってるオニーサンをちら見した。
外見は初対面に感じた通り、20代前半といったところか。染めたわけではなさそうなのに髪の毛の色が少し抜けているのは、やっぱりガテン系の仕事で毎日お日様を浴びているからだろう。
少し力仕事をしている人間にしてみれば長めの髪を、半分のところで結んでいる(俗に言うハーフアップというやつか)
まあ、普通だ。ここまでは。空き巣みたいに我が家に忍び込んだりしていなければ
「あら~こんばんは!ちょっと通りかかったから寄ってみたのよ~」
「あらあら!どうぞ、上がって頂戴!」
なんていう奥様方みたいに俺はこの人を家に招き入れたに違いない。
だけど、何だろう違和感がある。
このフローリングの部屋で、何かがミスマッチしていて、俺の感覚が全身でオニーサンに疑問を抱いていた。
7分目らへんまで麦茶の注がれたコップを持って、オニーサンの近くまで歩くときに
もう一度、上から下までよーく見てみる。
ふむ。
その時オニーサンがバッと扇子を上下に振って開いた。・・・・扇子?
「なーにジロジロ見てる。この服装は俺の流儀だぜ?カッケーだろ。」
服装と言われて初めて気付いた。馴染みすぎてて、似合いすぎてて、マッチしすぎて気づかなかった。
「浴衣だ・・・・。」
「着物だよッッッ!!!!!」
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