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責任感
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5分くらい、無言で橘さんと見つめ合う。右手には重い鉛の塊。みことと一緒にいることはこれ握ってる事と、一緒だって?わっけわかんないけど。でも、でも。でも俺は。
「俺って、意外と、ちゃんとしてるんスよ。」
「・・・・あ?」
何言ってんだコイツ。と言わんばかりに眉間に寄せられた皺。
「ですから、俺、責任感強い方なんですよねって。」
「・・だから?」
挑発するようにニッコリ笑いながら言ってみたら橘さんも口の端をくっと上げて不敵に笑った。
「一度引き受けた事は最後までやり通すつもりです。
・・・・つまり、みことは今まで通り、俺が預かりますよ。」
またしばしの沈黙。レンくんはこんなの日常茶飯事だと言うようにさっきから一度も顔色が変わらないけど、みことの方はおろおろと俺と橘さんを交互に見ながら狼狽えてる。・・大丈夫だっつの。俺が渡すと思ってんのかよ失礼な奴め。
しばらくしたら、橘さんが豪快にがっはっはっと笑い始めた。
「はは!いや、まーいーけどさっ!いや、よくねーのかな。な、レン。どう思う?」
「しりませんよ。とうしゅはマスターなんですから。」
「レンくん冷たーい」
とうしゅ?投手?・・・当主?! もしかして、結構偉い人なんだろうかこの人。業界人かも。俺、逆らったりしてっから社会的に抹殺されたりして。あはは・・・・。・・・・・今更ながらちょっと冷や汗かいてきた。
「まあ、一応言っとくとな、お前がここまでそこの猫ちゃんと2人で生きてられるのは・・奇跡に近い。」
「あの、さっきから恐怖がどうのとか、言ってますけど。一体全体何が起こるっていうんですか。」
みんな害がどうのとか言うけどさ、実際何も起こってないよな。って思うのよ、俺。
「はーー?そんなんお前が一番身に染みて分かってんじゃねーの?」
「何の話ですか?」
わけのわからない俺と、顔を見合わせてわけのわからないという顔を返す橘さんとレンくん。あ、やっとレンくんの表情が動いたな。
「ゆーてお前。何回奇襲受けたよ?」
「奇襲?!」
俺は異国人とでも話をしているのだろうか。全く言葉が通じない。
「んなもん、受けたことないっすよ。」
「ちょいと奥さん、嘘はいかんぜよ。」
少しばかり
動揺しているのか言葉が崩れてるみたいだ。
「いっかいも、ない」
みことが頑張って大きな声で宣言する。しっぽが俺の足に絡みついた。
橘さんがまた扇子でふぁさふぁさ扇ぐ。・・かと思ったら口元を扇子で隠してなにやら思案してるらしかった。
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