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名前を呼んで【トングル】
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「ぐるさん」
「ん?」
不意にトントンから名を呼ばれ、そちらを見るも、返事とは言えない言葉が返ってきた。
「ぐるっぺん」
「……なんだ」
今度は少し言い方を変えて、俺を呼ぶ。
「ぐるし」
「だから、なんだ。どうした?」
「ぐるちゃん」
「トントン?」
「そうとう」
「おい、聞こえてんだろ?」
だんだんと耳が熱くなってきて、少し言葉が強くなった。
手に持っている書類に身が入らない。それでは行けないと、必死にそちらへ目を向ける。だから、きがつかなかった。
トントンが、俺の後ろに回っていることに。
「大好き」
「っ~~!?」
不意に体温を感じたと思ったら、甘く艶やかな声が耳許で鳴り響く。驚きと羞恥で声も出ず、じわじわと俺の顔は熱くなっていった。
「グルさんは?」
そんな俺を見て、無邪気な様子で聞いてくる。本当に勘弁してくれ。
「なー、グルさーん。グルさんはー?」
なんでこんなに今日は名前を呼んでくるのだろう。その度に俺の顔は熱さをまずばかりだ。
「俺の事きらいなん?」
「んなわけなっ……いだろ……!!」
反射的に口から出た声と共に、振り返ってしまった。すると驚いたようなトントンの顔が酷く近くにある。
「ん……」
「!?」
いきなり。なんの前触れもなく口が触れ合い、暖かいものが口内に押し入ってくる。心地いいそれに身を預けようとしてしまい、ハッっとして顔を反らすと、強く抱き締められた。
どうしていつも滅多に起きないこんな事が起きているのか、心底不思議に思う。
ただ、確実なのは……
「なぁトントン」
「んー?」
「顔、見たい」
返答がない。流石に、引かれてしまっただろうか。
「……今顔赤いから、あかん」
そんな断りの言葉に、クスリと笑う。
確実なのは、しあわせだなぁ、と、思うことだ。
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