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タイムカプセル #3
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戻る途中、和哉に出くわし、今日遊ぼうと誘われた。
「今日は…。」
「え?ジュン君ですか?」
「いや……。」
「修ちゃん?」
「え……。」
智はどう嘘をついたらいいのか、わからなかった。
「修ちゃんなら、大丈夫ですよ。一緒に遊ぶ約束してますから。
どこで遊ぶんでしたっけ?」
智はホッとして、答える。
「ほんと?今日は修君ちで宿題するんだよ。和哉も宿題、忘れないでね。」
「はい。わかりました。修ちゃんちですね。」
和哉はにっこり笑って片目をつぶった。
その日の放課後、修は学級委員の仕事で、先生の手伝いをすることになった。
「先に帰ってていいから。俺、猛ダッシュで終わらせて帰るから。」
そう智に言うと、猛ダッシュで職員室に向って行った。
智が昇降口で上履きを履き替えていると、雅範がやってきて、
ニコニコしながら智の隣に並んだ。
「今日、どこで遊ぶ?」
つぶらな瞳をキラキラさせて、雅範が智の肩を抱く。
「今日は……。」
「何?約束があるの?」
「…うん……。」
智は下を向いてうなずく。
「そっかぁ、じゃ、カズさそおっかな。」
「あ……カズは……。」
「用事あるって言ってた?じゃ、修ちゃん、誘ってみるか…。」
雅範はう~んと考えるように腕組みをする。
「修君も……。」
智はまた下を向く。
「……みんな…一緒?」
雅範の表情が曇る。
「うん……。」
「え~っ?俺は?俺はダメなの?ずりぃ!」
雅範が頬を膨らませて、口を尖らす。
「……遊ぶんじゃなくて、宿題するんだよ。」
「俺も!俺もやる!どこでやんの?」
「え?……修君ち。」
智の声が小さくなっていく。
「わかった!修君ちね!」
雅範はニッコリ笑って手を振ると走って帰って行った。
「……約束…。」
智は溜め息をついて、ギュッと目をつぶると、
上履きを下駄箱に押し込んだ。
智が修の家の前に行くと、和哉と雅範が先に来ていた。
「みんな早いね~。」
「智が遅いんです。」
和哉が智の腕を取り、修のウチのチャイムを押す。
インターフォンから修の声が響く。
「智?今、行くからっ。」
修の声が弾んでいる。
それを聞いて、和哉がクスクス笑い、雅範がニヤニヤする。
玄関がガチャっと開くと、和哉は組んでいる智の腕をギュッと引き寄せる。
出てきた修の笑顔は一瞬で曇る。
「修ちゃん、来たよ~!」
雅範が手を振る。
「約束…してましたよね?」
和哉がウィンクする。
「はぁ~?……あっ…ちょ、ちょっと離れて!」
修が和哉と智の間に入っていく。
「修君、ごめんね。」
智が下がってる眉を、さらに下げる。
「もう、仕方ないなぁ。智は嘘つけないもんね。」
智は困ったように笑う。
「素直なんだよなぁ。」
修は智の頭をなでなでする。
「修ちゃん、早く遊ぼうよ!」
雅範が開けっ放しの玄関で、振り返って修を呼ぶ。
「修ちゃん、雅範が呼んでますよ~。」
和哉が笑いながら、また智の腕にしがみ付く。
「雅範!待てよ!」
雅範に向って怒鳴ると、修は智の手を掴んだ。
「行こ。」
修は智がまだ困った顔をしていたので、
ニッコリ笑って手を引いた。
智は修に引っ張られ、和哉にぶら下がられ、
修の家に入っていった。
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