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ココロチラリ 田舎編 #18
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納戸のドアを開ける。
薄暗い納戸の中に陽の光が、徐々に広がっていく。
納戸の中にはいろんな物が整理されて並んでいた。
おいら達は小さな裸電球を付けて、中に入っていく。
おいらの目の前には芝刈り機?と思われる物や、鍬(くわ)や箒が立てかけてある。
「お庭で使う物?」
おいらは箒を手にして修君に聞く。
「そうだね……外で使うものが多いかな……。」
修君は納戸の中を見回して言う。
「これ、魔法使いのみたい。」
修君に手にした箒を見せると、修君も笑う。
「ほんとだ。智、魔法をかけてよ。すべてうまくいって、早く家に帰れるように。」
おいらは箒を丸く振り、魔法をかける。
「すべてうまくいきますように。」
箒が大きすぎたのか、おいらが大きく振りすぎたのか、棚と棚の間に立てかけてあった、
スコップと大きなちりとりにぶつかる。
「あ、危ない。」
修君がおいらを抱きかかえて自分の方に寄せる。
大きな音を立てて、倒れるスコップ達。
「ごめん……。」
「危ないから、気をつけて……って、俺が魔法をかけてなんて言ったのが悪い。」
「そんなことないよ。」
修君はおいらを見つめて、にっこり笑う。
「智が無事でよかった。」
修君の手がおいらの頬を撫でる。
ダメだ。このままじゃ、おいらが修君から離れられなくなっちゃう。
おいらは修君から急いで離れると、箒を元に戻す。
「しゅ、修君、早く調べちゃおう。」
おいらは倒れたスコップを持ち上げて元に戻す。
戻した壁の色……なんか違う?
おいらは戻したスコップをもう一度床に置く。
「智?」
修君もおいらに気づいて壁に寄ってくる。
「色……違くない?」
「ん~……そうだね。」
修君はちょっと考えて、そこにあった物を次々どけていく。
おいらも手伝ってどける。
棚と棚の間の物がすべてなくなると、壁の色が明らかに違うのがわかる。
暗いからわかんないけど、色が違うことだけはわかる。
「修君……。」
「うん。」
修君は壁に近づきちょっと押してみる。
ドアだ。
取っ手はついてないけど、修君が押した振動が伝わって、
そこに四角い板があることがわかる。
「ドア?」
おいらが修君を見上げると、修君が静かにうなずく。
修君はもう一度、同じところを力強く押してみる。
ドアがガタッと音を立てて開く。
「修君!」
おいらは修君に体を寄せる。
「……あったね。また秘密の通路。」
修君はおいらを見て、複雑な顔で笑った。
修君、こういうの、苦手だもんね。
おいらは修君から離れると、ドアの中に入っていく。
「待って、智!」
振り返ると、一瞬修君が消える。
「修君?」
修君はすぐに戻ってきて、手には大きな懐中電灯を持っていた。
「これなら明るいよ。」
修君の顔がちょっと明るくなった。
でも、修君。
見えない方がいいものがあっても……それだと見えちゃうよ?
おいらの後ろに修君がピタッと張り付くと、おいらは前を向いて歩き出した。
通路はまた、下に向かって続いていた。
結構長い通路だった。
おいらが考えたような、見ない方がいいものはなかったけど、
暗くて長い通路はやっぱりちょっと怖い。
修君も、おいらから離れない。
「修君、大丈夫?」
おいらが振り返って修君に声をかける。
「大丈夫だよ。智こそ、大丈夫?引き返す?」
修君はきっと狭さも嫌なんだろうな。
「大丈夫。……どこに続いてるんだろうね?」
おいらと修君はゆっくり前に進む。
上り坂に差し掛かると、目の前に階段が現れる。
その5m位先を、修君の懐中電灯が照らすと、行き止まりの壁が現れる。
「行き止まり?」
今回は秘密の部屋はないのかな?
おいらは階段を上っていく。
修君は恐る恐るついてくる。
壁の前まで行くと、取っ手がついてるのが目に入る。
「修君、取っ手。」
おいらはその取っ手に手をかける。
「待って。俺が開けるから。」
修君がおいらの手を退けて、取っ手に手をかける。
「修君、大丈夫?」
「ばかだな。大丈夫だよ。」
修君の声がちょっと震えてる。
可愛いな。
おいらが笑うと、修君が取っ手を捻ってドアを開ける。
ドアの向こうには廊下……?
この家の中では珍しい洋風な壁。
おいらと修君は靴を脱いで、廊下に出る。
二人でキョロキョロ辺りを見回す。
「ここ、どこ?」
修君はじっと廊下の先を見つめ、ボソッと言う。
「智も見覚えあるでしょ?」
修君が廊下の先を指さす。
「今朝、来たじゃない。」
今朝?
おいらは今朝のことを思い出す。
「あ……。」
「そう。佳代子おばちゃん達の部屋に続く廊下。」
修君が顎に手を当てて、考え始めた。
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