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事件のその後
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「山本…どうなるんだろうな」
山本が送検されてから2週間ほどが経った今日、6月24日、俺は瑠夏と廊下を歩きながらポツリとつぶやいた。
「あの供述なら情状酌量で懲役2年くらいで収まるんじゃないかなぁ。ただ死体をバラバラにしちゃったのもあるから、求刑は3年みたいだけど」
山本の罪は死体損壊及び死体遺棄罪。
懲役3年以下に処せられるのが一般的。
「ここに配属されるまでは、殺人犯に同情とか、しないと思ってたけどさ」
瑠夏はそう言って窓の外を見やる。
「悲しい事件も多いもんだね」
外は青い空が広がっている。
「俺たちが担当した事件の犯人の気持ち…東雲夜も、穂波陵も、山本文也も…なんでだろうなぁ、理解できる」
だからと言って許されないけどね、と瑠夏は悲しそうに笑う。
瑠夏がたまに見せる、この儚い笑顔の意味は、なんなんだろうか。
「今回は強姦された穂波が殺人を起こした…。事件の被害者が、次の加害者になる…事件が事件を生むのなんて…嫌な話だよね」
そう呟いた瑠夏に太陽の光が当たって、一瞬俺の視界から、瑠夏が消えた。
「瑠夏…?」
「なんて、感傷に浸ってる場合じゃないね。事件の整理しておかないと」
瑠夏はすぐにいつものように柔らかく笑って俺の前を歩く。
俺は、瑠夏が抱えている心の闇をまだ知らない。
第2章 END
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