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制服に着替え、部屋を出てリビングに向かう。
父さんがソファーでスーツのままだらしなく寝転がって居た。
「ゔぅー…、何だお前か。あぁそうだ、今日の飯代はテーブルの上にあるから持っていけ」
僕の足音に気づいたのか、父さんは目を覚ました。
「うん、父さん今日仕事は?」
台所に入り、コップに水を注ぐ。
「いや、今日は…行かなくていい」
ここ数ヶ月ほぼ毎日その言葉を聞いている。僕は軽く流し、父さんの目の前に水の入ったコップと二日酔いの薬を差し出した。
「はい、これ置いておくから飲んでね。できたらでいいけど部屋の片付けしておいて。夜は外で食事済ませてくるから遅くなる。じゃあ、僕、今日日直だから、いってきます」
足早に家を出ようとすると、玄関横の元々母さんの部屋だった場所から物音がした。覗くとベッドでだらしなくランジェリーを着崩した髪の長い女がいた。きつい香水の匂いに鼻を塞ぎたくなり、部屋を後にした。
父さんは母さんが死んでから変わった。
金回りが急に良くなり、会社にもほとんど行かなくなった。夜は毎晩のように飲みに歩き知らない女の人を何人も家に連れ込んでは母さんの部屋を使わせる。
いつ家に帰ってきたのかもわからないくらい家を開けることもある。逆に父さんも僕の行動を何一つ把握していないから何日外泊していようが気づきすらしないんだろうと思う。
人見知りで、だけど温厚で、そんな父さんの面影はもはやなかった。
恥ずかしい。見ていたくない。変わってしまった父さんの惨めな姿を見続けるのは自分も何かが変わってしまうようで、僕はなるべく父さんと一緒にいないようになった。
こんなに早くに学校に行っても校門すら開いていない。僕は亜樹の家に寄ることにした。
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