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二度目のさようなら。
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…やっと之人に触れることができた。
俺は、自分のわがままで之人を殺めてしまったことで罪悪感に苛まれた。
だが、そんな俺を之人は受け入れてくれた。
とても嬉しかった。
「ねぇ、征次郎さん。 いつになっても一緒にいようね? 」
「…ん? あ、あぁ。」
「どうしたの? 征次郎さん。 最近なんだかぼーっとしてる。 俺のことどうでもよくなっちゃった……?」
「…っ違う! そんなことは断じてない! ないんだが……」
「えっ…? だが…なに?」
「…そろそろ時間がなさそうなんだ。」
俺は、自分の体の変化に気がついていた。
時たま俺の体は透けてくるのだ。
「…嫌だっ。 もう…行っちゃうの? また俺を置いて行っちゃうの?」
そう言って涙を流す之人。 俺は何度之人を泣かすのだろう。 この世界で之人と過ごしてどれくらいになるのだろうか。 この世界では時間なんてものは存在しないから、よくわからない。
ただ、楽しかった。
「また… お前を泣かせてごめんな。 俺も之人を置いて行くのは辛い…。 絶対に来世で逢おうな? 愛してる…。 之人。」
「…ぅんっ。 ぁは…。 」
俺は之人に、深く口付けた。
俺を忘れないようにと。 之人の顎にどちらのものかもしれない唾液が伝った。
次第に俺の体が透けて行く。
もう俺と之人に残された時間はなさそうだ。
「ねぇ、征次郎さん。 大好き…だよ! 愛してる。 来世でも絶対、一緒にいようね…!」
そう言って泣きながら笑う、之人を俺は心から愛おしいと思った。
「あぁ、俺もだ。之人。 お前を愛してる。絶対に逢いに行くから忘れないでくれよ。俺のこと。」
「当たり前だよ。 行ってらっしゃい! 征次郎さん!」
また逢えるから…之人はさようならではなく行ってらっしゃいと言ったのだろうか。
本当に可愛いやつだ。
「そーだな。行ってくる。」
俺の体は、どんどんと光の粒になっていき俺の意識はなくなった。
「征次郎さん…。 またいなくなっちゃった。
逢えるって信じてるからね…? 逢いにっ…来てね…っ? 大好き…だよっ。」
征次郎に想いを馳せ涙を流す之人は、自分の体が透けてきていることに気がついていないのであった。
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