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18歳以上ですか?
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虚無感
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ーー起立っ、気をつけ、礼っ!
「おっしゃゃぁああ! 終わった! 帰れる!
ちょー嬉しい!」
そう言って教室で伸びをするのは俺、浪川龍弥。18歳。
「おいっ、浪川! うるさいぞっ! ろくに授業も受けんくせに、帰るときだけ元気になりやがって!」
そう言って、笑うのは担任の… 名前分かんねぇけどおもしれぇやつ。
「なぁ、龍弥! 今日カラオケ行かね? 可愛い子達と合コンだぜぇ?」
これは、俺の友達の綾人。 なかなかのイケメンですぐに女をつくるいけすかねぇやつ。 まぁ、俺も大概だけどな。
「いや、行くっしょ! 当然!」
「さすが龍弥じゃーん! ノリいい!サイコー!
じゃあ、このまま行くか!」
「おぅ!」
まぁ、俺は俗にいう不良ってやつだ。
夜遅くまで遊び呆けて女引っ掛けて…
これまで抱いた女なんて数えられねぇくらいいるし泣かせた女も沢山いる。
でもこれは… 本当に欲しいやつが手に入らない悔しさからきてることに俺は気がついている。
これは綾人にも他のダチにも言ってねぇことなんだが、俺には前世の記憶が残ってるみてぇなんだ。
こんなこと言ったらぜってぇバカにされるから言わねぇけどっ。
んで、俺はどうやら前世では藤田征次郎っつー名前だったみてぇーなんだけど…
問題はその恋人だ。 征次郎の恋人は、之人っつー男でまじで焦った。 俺の前世は男好きだったみてぇーだ。 俺はちげぇけど!
そもそも、告られたら付き合うって感じでまじで好きになった奴なんていねぇーからなんとも言えねぇけど。 ほんとは俺も男好きだったりして?
んなわけねぇーわな。
でも、なんかそいつが頭から離れなくて困ってるわけで。 ぜってぇ、之人ってやつは俺の… てか征次郎のこと覚えてねぇだろうに。
覚えてたところで容姿は変わってんだろーけど。
「おーいっ。 龍弥ちゃん? 起きてる?」
笑顔そう言って、俺を急かす綾人。
「うっせぇ。 起きてるよっ! てか、龍弥ちゃんてなんだよ。気持ち悪りぃな! 行くぞっ。」
「なんだよ!待っててやったのに、置いてくなって!!」
そう言いながらも笑ってついてくる綾人。
いいダチだと、つくづく思う。
カラオケに着くと、すでに相手の女の子たちが待っていた。 まぁ、顔は可愛いかも? だけど、なんか足りねぇんだよな…。
「あぁー、よろしくね? 俺、浪川龍弥。 龍弥でいいよ。」
「あっ、抜け駆けしやがって! おれ、綾人!
苗字は教えない! 下の名前で呼んでね!」
相変わらず、チャラいなこいつ。
「あ、よろしく! 私ねーーー」
名前だけでも、聞いて置いてやろうと思っていたが俺はカラオケの受付にいる奴に釘付けになった。
ー見つけた。 俺は瞬時にそう思った。
目の前にいる女の子たちも確かに可愛い。
だがそれ以上に、可憐でおそらく同い年くらいであろう男に目を奪われていた。
あれはきっと、之人だ。 直感がそう叫んでいた。
「えぇー、みんなちょー可愛いじゃんっ!早く行こー!」
綾人のおちゃらけた声に、俺は現実に引き戻される。 やべぇ、紹介なんも聞いてねぇ。
まあ、そんなことはどうでもよかった。俺の頭の中は、どうやって之人… 今の名前は何だろうか? 分からないが、之人だった人に近づく方法を考えていた。
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