アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
chapter Ⅰ
-
side 黎
頭上から聞こえる声を無視していると
「ほら、若。それとも俺のキスで、
目覚めますか?」
ギシリとスプリングが軋んだ。
朝から耳元で甘く囁かれるなんてどんな
拷問だよ。
『キモい。死ね』
「えぇっ、そんなに嫌ですか!?」
見なくても床に泣き崩れたのがわかった。
毎度のことながら、鬱陶しい奴。
まだ怠さの残る体を起こすと
視界にグレーアッシュの髪が映った。
肩からずり落ち、はだけているシャツを
直していると視線を感じた。
『何』
「ちょ...若、またシャツで
寝てたんですか?」
『楽だから。てか退いて。邪魔』
床に座られていては邪魔なので
足蹴にするとやっと顔を上げた
馬鹿の顔が赤く染まった。
熱?なら近づかないでほしい。
『キモい』
「スイマセンデシタ。くそっ、朝から
なんつー色気......」
ボソッと呟かれた言葉は
俺の耳には届かず、
何故かぐったり項垂れた馬鹿は放っておき
着替えを済ませた。
その間チラチラと向けられた視線に
対しては無視した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 167