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chapter Ⅰ
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side 黎
朝の訓練に向かうため
人気の少ない廊下を歩きながら、
伝えられた予定を聞く。
「今日はいつものメニューにプラスで
新入りの組手の相手をお願いします」
『また新入りか』
ヤクザなんてやってると組員の生き死には
息をするように当たり前...
とまでは言わないが、それなりに命懸けの
職業だ。
役職が重ければ重いほど危険も増す。
「そうです。戦闘力が人並みなので
鍛えておいた方がよろしいかと」
『何で俺が』
「一度、若の実力を思い知らせ.....見せておく
必要があると思いまして」
隣でニコリと黒い笑みを浮かべたのは、
俺の側近、凍堂雪斗。
お気に入りのグレーアッシュの髪が
さらりと揺れた。
わざわざ俺がしなくても
雪一人で充分だと思うけど....
新入りに対して容赦がない。
組入り最初の組手に俺を指名した辺り、
新入りの内の誰かが
俺に対して失言でもしたのだろう。
若頭という地位の割りに俺は若すぎる。
事実、組内でも不満の声がある。
「以上です。何か質問等は?」
『無い』
とはいえ、関東一を誇る黒夜組若頭として
なにもしない訳にはいかない。
それなりに訓練は積んできた。
勿論実戦向きメインで。
この手で何人もの命を握り潰してきたし
これからもそれは変わらない。
それに対しての抵抗は無かった。
それが極道の家に生れたて者として
当たり前だと、理解しているから。
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