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chapter Ⅰ
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side 黎
早朝、だだっ広い道場でヒュッ、ヒュッ、と
風を切る音とダンッと何かを叩きつける
音が響く。
「昨日、若が散々暴れて下さったお陰で
山下組は全て吸収出来ました」
報告を聞きながら体を右へ左へと捻り、
飛んでくる拳を避ける。
今日は何かあった気が...しないでもない。
何だっけ?等とぼんやり考えていた。
『で?』
「ついでに下で動いていた奴らも全員
捕まえました。吐かせる為現在拷問中です。
というか若、とっくに終わってますよ」
『ん?』
ふと、意気揚々と壁際で報告をしていた雪が
口を挟んできた。
気づけば周りには誰も居なくて、
視線を下ろすとさっきまで相手をしていた
はずの組員が全員畳の上に倒れていた。
所々で呻き声が上がる。
『もう終わりか』
「若の相手をして生き残れる者なんて
そういませんよ」
どうやら無意識のうちに全員
伸していたようで。
口ほどにもない。
あれだけ豪語していたのにこの程度か。
後で口の聞き方も雪に習うといい。
一人雪が満足げに頷いている。
こうなることを予想して俺に相手を
させたのだから、性格の悪さが滲み出てる。
「それよりも若、そろそろお時間です。
初日から遅れては何かと面倒でしょう?」
雪の浮かべた笑みを見て、
ようやく思い出した。
今日は高校(編入)の........登校日だ。
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