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chapter Ⅱ
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side 黎
シートに背を預けて目を閉じ
半分寝かけている俺は車で移動中、
これから通うことになっている
学校について聞かされていた。
「今日から通うのは私立宮園学園高等部。
クラス分けは成績順。勿論Sクラスです」
『......』
「全寮制ですがオレ達は外出許可出てるので
仕事に支障はありません」
『......』
「寮は同室にしてもらったので
特に問題はないかと」
『......』
完全防音になっている特注の車内では
雪の声とパラパラ紙をめくる音
だけが聞こえる。
「後は......何名か族関係者が居ますが
念のため近づかない方が良さそうですね」
いろんな意味で、と呟かれた言葉。
確かに関わったら面倒なのが
目に見えてる。
『雪』
「分かってるよ。まぁいざとなったら潰せば
いいだけの話だしね?」
俺が名前を呼んだことで口調が崩れた。
口元に薄い笑みが浮かぶ。
コイツも、面倒。
やり方がいちいち回りくどい。
狙った獲物はじわじわ苦しめてから容赦なく
仕留める鬼畜。
まぁ、俺達のような極道には丁度良い
無慈悲さだけど。
可哀相、なんていちいち同情していては
心が保たない。
非情さも、冷酷さも、裏社会では
必要不可欠だから。
人の心なんていくらでも変化する。
盃を交わそうが、誓いを立てようが、
結局は他人でしかない。
だから、俺を崇拝しているコイツも
いつかは裏切るんだろうな、なんて
考える俺も充分非情なんだろう。
side 黎 END
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