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chapter Ⅱ
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side 黎
「っ、たた...黎が相変わらずで安心したよ」
俺の目の前で踞りながら少し掠れた声を
出したのは理事長、もとい俺の伯父で
スキンシップが過剰過ぎる、父の兄。
本名は黒夜 葵(こくや あおい)。
『踏むよ?』
「踏んで下さい」
更にドが付くほどのM。
退け、という意味を込めて言ったら
笑顔を返された。
「何言ってるんですか葵さん。
取りあえず中入りましょう」
出入口で踞られては邪魔なので
選択肢を出しただけだ。
雪に促されて渋々伯父が立ち上がった。
「そこに座ってて」
招かれた部屋の中は外装違わず
豪華で、だけど伯父らしく
シンプルで綺麗だった。
「黎は珈琲だよね?雪斗くんは?」
「私も珈琲でお願いします」
「そう。比奈、珈琲三つ持ってきて」
外線で頼んだのは恐らく秘書の
御嵩さんだろう。
コンコンッ
「失礼致します」
アオが外線切ってから三十秒前後
ノックと共に入ってきた御嵩さん。
本名は御嵩 比奈(みたけ ひな)。
「お待たせ致しました」
流れるような動作でカップを
俺たちの前に置くと伯父を一瞥して
出ていった。
その一瞥が氷よりも冷たかったけど。
また喧嘩したのか。
隠してるつもりらしいけど、
伯父(男)と御嵩さん(男)は恋人だ。
「じゃあ改めて、二人とも入学おめでとう」
「ありがとうございます」
『いいよ、そうゆうのは』
「そう?なら軽く説明させて。
まず、持ってるカードはなくさないでね。
身分証と財布がわりだから」
「分かりました」
「寮は同室、っていうのも知ってるよね?」
はい、と頷く雪。
「変装はくれぐれもバレないようにね」
「分かっています」
丁寧に対応する雪をぼんやり眺める。
俺は別にバレても良いんだけど。
雪が、煩いし。
「分かった、黎?」
『多分』
「黎......」
この人も、ウザい。
今着けているカラコンや髪染めは
この人が送ってきたものだ。
三十枚の手紙と共に。
「はぁ......後は寮の管理人に聞いてね」
「はい。黎、行きましょう」
『ん』
「いつでも来て良いからね?
というか来てくれると嬉しいな」
『気が向いたら』
多分、向かないと思うけど。
ここまで来るの、遠くて大変だし。
「あ、待って」
チュッ
呼び止められて振り向いた途端、
頬に押し付けられた柔らかいもの。
リップ音を響かせて離れたソレは、
緩やかに弧を描いた。
「忘れるところだった。ねぇ、黎は?」
『あーはいはい』
グッとネクタイを掴んで引き寄せると
目の前の唇に自分のソレを重ねた。
すぐに身を引き目を細める。
『じゃあね、アオ』
「あっ...」
何故か真っ赤になった伯父。
勿論気にせず理事長室を後にした。
後ろから突き刺さる視線も、無視した。
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