アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
chapter Ⅲ
-
side 黎
今は昼休み、だった気がする。
たまたま空いていたらしい
どこかの教室の
壁に寄りかかって目を閉じながら
寝たふりを続けていた。
起きてるとうざいのが
話し掛けてくるから。
俺を除いてこの場にいるのは三人。
雪と、チワワと、大型犬。
名前?忘れた。覚えるの面倒だし。
三人共食事中。
俺はお腹空いてないからパス。
雪にちゃんと食べてと迫られたから
沈めるよ、って言ったら黙った。
「ねぇねぇーーー」
「んー?ーーーーー」
「じゃあーーーー?」
三人、というよりチワワが一方的に
雪に話しかけてる。
自身の事を根掘り葉掘り聞かれ
即席で作り上げた「冬李」で
雪が答えている。
「悠」
『......』
「ゆーう?」
『......』
「起きてるでしょ?」
『...何』
何度も呼ばれて渋々目を開けると
何故か近くに雪の顔があった。
「食堂あるらしいんだけど
夕飯に行ってみない?」
『行かない』
「何で?」
『煩いって、アキが』
「アイツか」
ある人物の名前を出した途端、
一瞬、苦々しく歪んだ雪の顔。
本当に一瞬、俺しか分からない程度に。
他人が居る手前舌打ちは抑えてたけど。
「何?どうしたの?」
「何でもないよ。でもごめんね、
一緒に行けない」
「えー、何で?」
「悠は人混みが苦手なんだ」
「そっかぁ....」
シュンッと下を向いてしまったチワワ
を大型犬が無言で撫でる。
困ったように笑っている雪。
ねぇ、目が笑ってないよ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 167