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chapter Ⅴ
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side 黎
制服に着替えた後
怠い体を引きずって登校した。
いつもより騒がしいのは、
気のせいではないのだろう。
「あー、やっと来た!」
「おはよう。何かあったの?」
「え?知らないの?」
教室に入るとすぐにチワワが寄ってきた。
雪が質問すると逆に首を傾げた。
「生徒会がね、探してるの」
「誰を?」
「昨日、警官コスしてた人のこと」
警官コス...警官コス....俺?
何故、俺が...
目をつけられるようなことは
してないと思うけど?
「けど案外悠李くんだってバレてないよ!」
「そうなの?」
「ほら、昨日は珍しく素顔だったでしょ?
だから気づかれてないんだよ」
邪魔だった眼鏡を外してたのが
幸いだったらしい。
まぁこちらから近付くつもりは
一切無いけど警戒は必要かな。
「泣かせたのが不味かったかな?」
「それもあると思うよ?だって
親衛隊が必死で探してるもん」
「親衛隊って?」
「あー、外部生だから分かんないか。
この学園にはね、人気のある人を守る、
って名目で親衛隊が作られるんだ」
「名目?」
「うん、実際は超過激なファン集団
みたいなものなんだよねー。
安易に近付くと制裁とかするしさ」
僕たちも手を焼いてるんだ、と
珍しく苦笑いのチワワ。
「そーゆーのを取り締まるのも僕らの
役目だからね!」
確かに生徒会は顔で選ばれるって
アキが言ってたかも。
絶対近付くな、ってこうゆうことか。
はぁ、面倒くさい。
「ま、僕らは口外するつもりないから
安心してね!」
チワワの隣にきていた大型犬が
コクりとうなずいた。
「それは嬉しいけど....どうしてそこまで?」
「どうしてって、友達でしょ?」
友達、ねぇ....
どうしてそこまで自信満々に
言い切れるのか謎だなぁ...
そっか、友達だよね、なんて言ってる
雪のその瞳は絶対零度。
口元に浮かぶ寒々しい笑顔。
これに気づかない時点でアウトだよ。
それに多分、絶対に後悔する。
俺達のような人種に関われば
それだけで常に危険が付きまとう。
「ほら、全員席つけー」
丁度教室に入ってきた教師の
声でそれぞれの席に戻る生徒達。
俺も席に着き、
窓の外を眺めながらこの無意味な
友達ごっこはいつまで続くのだろう、
とぼんやり思った。
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