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chapter Ⅷ
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side 薫
誰も口を開かない。
沈黙が場を支配していた。
京が不機嫌顔で思案し、
作り笑いが得意な秀が真顔で、
ぎゃーぎゃー煩い双子が大人しい。
壁にもたれながら
吸い込んだ紫煙を吐き出す。
あんなものを見たせいか、思考が
鈍くなっているようだ。
≪ブラック・ハウンド(黒い番犬)≫
そう呼ばれる彼らは、夜の街を守護する
絶対的存在だ。
二人組で、全身真っ黒が基本スタイル。
異様に紅い瞳と、圧倒的な強さ。
その素顔を見たものはいない。
半ば都市伝説かしている。
対峙しただけであの威圧感。
殺気に当てられて気絶する奴がいる程、
格が違う存在。
まだ少し、震えが残っている。
生きていられたのが不思議なくらいだ。
恐らく本気で潰しにかかられたら
数分ともたなかったはずだ。
運が良いのか悪いのか。
遭遇確率はほぼ一桁の彼らに会えたのは
嬉しいが、あの場で会ったのはアウトだ。
「それで?これからどうするつもりよ、
総長?」
このままでいても、なにも変わらない
という意味を込めて問いかける。
「しばらくは動かない」
「動けない、の間違いでしょうよ」
「っ、そうだ」
わお、認めるとは思わなかった。
これは思ったよりもダメージがでかいか。
ま、ウチの総長サマは自信家だしねぇ。
確かに京は強い。俺達からしたらな。
けど、上には上がいる。
「まず、下っ端達の回復に努める。
そこからだろう、行動を起こすとすれば」
「りょーかい」
頷いた俺に続いて、黙って会話を聞いていた
秀と双子も頷いた。
side 薫 END
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