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chapter Ⅸ
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久々の腹黒コンビだ。
作り笑いなら良い勝負。
表面上は穏やかな会話が続く。
「お久しぶりです、副会長。
何かご用ですか?」
「ええ。実は勧誘に来たのです」
「勧誘、というと?」
「我々生徒会が投票で決まっているのは
ご存じでしょうか?」
「軽くなら」
「更に会長、副会長には補佐が任意で
つきます。ただし此方は投票ではなく
我々に一任されています」
読めたな。
雪を側に置いて監視するんだろう。
仮に雪が不穏因子ならば誘いに乗ると
思っているのか?
仮にそうじゃなくても優秀な雑用が
手に入って生徒会は得をする、と。
考え方は悪くないけど相手が悪いな。
「編入試験の結果には目を見張りました。
まさかここの編入試験で満点を取る方が
いるとは....」
少し大袈裟に驚きすぎだろう。
何しろここの編入試験は小学生でも
解ける内容だった(昨:大学の入試と同レベル)
「更にその容姿なら不満は上がらない
はずです。一人部屋になれますし
その他多くの特典があります」
黙っている雪をどう捉えたのか、
副会長は続けざまに捲し立てた。
甘いな。今の提示されている条件に
雪の欲しがる物は何一つ無い。
「お断りします」
「っ、何故です?」
「オレには必要ない物ばかりですし
騒がれるのはあまり好ましくないので」
「生徒会に興味はないと?」
「そうです」
やんわりとでもしっかり否と言った。
そんな雪が信じられないのか
絶句して固まった。
まぁ、充分な権力に所属してるし。
「き、急な話だったので今すぐに返事を
求めている訳ではありません。
明後日、もう一度返事を聞かせて下さい。
生徒会室でお待ちしています」
どうやら断られた際の対策を講じて
こなかったらしい。
期限を延ばしても無駄だと思うけど。
完全に扉が閉まってから顔を上げると
雪がこっちに歩いてきた。
笑顔で手を拭っている。.....除菌シートで。
「常備しとくべきだよね」
どうやら手を握られたらしい。
雪は変なところで潔癖だから常に
他人と綺麗に線を引く。
『戻る』
「そうだね。珈琲でも淹れようか」
『あぁ』
偽物の王子様は、どこまでもつのだろう?
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