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chapter Ⅰ
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side 黎
車から降りたそこは、普段ならあり得ない
程の熱気と殺気が渦巻いていた。
微かに鼻を掠める血の匂いが遊びでは
無いことを悠然と語っている。
そう、俺の家でもあるこの本家が、
とある組に襲撃されていた。
当然応援要請がきたので、学園から
直で来たのだが....
「本家に弓引いてただで済むと
思ってんのか、あ゛ぁ?」
「ヤクザが薬なしでやれるわけねぇだろ!」
「それがこの組の掟じゃあ!お前ら、
頭のからの恩を忘れたか!?」
「新しく天下を取るのは俺達柳田組だっ!」
怒声や罵詈雑言が飛び交い、
骨と骨のぶつかる音、果ては銃声までもが
鳴り響く。
厳つい男達が睨み合っては殴り合う。
ホルダーの相棒を軽く撫で、騒音の中心部
へと足を進める。
途中、絡まれると面倒なので気配は
消しておく。
勿論、それでも流れ玉はあるので
適当に避けるか相討ちで済ます。
予想道り中心部では親父を守るようにして
幹部が円状になっていた。
近づく際に邪魔だった奴らは
蹴り飛ばして退場させる。
すぐに病院へ行けば助かるだろう。
行ければな。
『親父』
「来たか、黎」
「お待ちしておりました、若」
「「え、若!?」」
親父と雷を除く幹部が驚いた顔で俺を見る。そういえば制服で、変装したままだった。
髪も目も戻した方が良かったか?
まぁ、そんな議論は置いといて、
『邪魔だからお前らは死ね』
久々に暴れられる。組同士の抗争など
どこぞのごっこ遊びとは訳が違う。
命の重さが、違うのだ。
そのまま押し潰すとでも言うのか、
ぐるりと取り囲んでいる敵に
問いを投げ掛ける。
『なぁ、どこをやられたい?』
「っ、若頭さえ討てればこっちの勝ちだ!
死ねっ、黒夜黎!」
現段階、数的にこちらが圧倒的に不利だ。
敵の標準装備は銃か小刀。
その銃口が俺に向けられた時、ぞくりと
肌が粟立った。
久しぶりの高揚感。
無意識の内に笑っていたらしい。
「な、なんで笑って...」
「構うな、う『残念』ぐあっ!」
まとめ役の男は撃て、と言えないまま
気がつけば腹に膝がめり込んでいた。
内臓が破裂してもおかしくない勢いの、
重い一撃。
部位を抑えてしゃがみ込んだ男の背を
台にして勢いそのまま周りに蹴りを叩き込む。脳震盪を起こしたらしく、崩れ落ちた。
着地と同時にホルダーから相棒を
取り出しながら転がってその場を離れ、
膝をついた体勢のまま引き金を引く。
先程の着地地点には数発の弾丸が穴を
開けていた。
この一分の間で10人は脱落。
だが鬱陶しいことに、弱い者程群れるのだ。
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