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宙に浮いた気持ち 8
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「新藤、俺帰るから。朝飯までありがとう」
「えー、千秋くん帰っちゃうの? お姉さんと遊ぼうよぉ」
俺が帰るのを引きとめたのは、お姉さんの方だった。
お姉さんにはまた今度とかなんとか上手く言って玄関まで急ぐ。
その後ろを新藤がついてきた。
「ふ、服は今度返すから。じゃあな」
と、振り返った瞬間。
見なきゃよかったと思った──。
はっとしながらも踵を返し、俺はドアを開けて走って家へと急ぐ。
胸の奥が妙にざわついた。
さっき振り返った瞬間見た新藤の切ない顔が脳裏に焼き付いて……。
なんだよ。なんで、あんな顔すんだよ。
胸くそわりぃ。
俺は気付いていなかったんだ。
小さな心の変化に気付けるほど、俺は器用じゃないから。
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