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俺だけがいない 9
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つーか俺! 何考えてんだ俺!
男は女が好きに決まってんじゃねぇか。
なんだよ!
今のじゃまるで、俺のこと好きじゃなくなった新藤にがっかりしてるみたいじゃん!?
俺、キモッ! 自分なのにキモイ。
なんなんだよ! マジで、ムカツクし。
クソー!! 全部、新藤のせいだ。
この怒りを本人にぶつけないと気が済みそうにない。
イライラが最高潮に達した瞬間、俺は何も考えなしに走り出していた。
「おい、マリエちゃんのことを取り返しにいくつもりかよ」
内川の言葉なんて耳に入っていない。
ただ、今は新藤がムカついてイライラして頭に血が上っていたんだ。
全部、新藤が悪い。俺を無視する新藤が悪いんだから!
「おい! 新藤っ!!」
それなのに、また新藤は俺を無視する。
振り返ったのはマリエちゃんだけだった。
俺のことなんて気にも留めずに前だけを見て歩いていく新藤を、無意識に腕をつかんで引き寄せていた。
「おい、新藤! 待てよ! 呼んでるだろ!」
腕を引き寄せたので、新藤が俺のほうを向いた。
そして、久しぶりに目が合う。
でも、それでも新藤は何も言わない。
表情もなく、冷たい目で俺のことを見ている。
俺のイライラは更にに上昇していった。
どうして、そんな冷たい目で見るのかと思う。
そんな雰囲気を察したからだろうか、新藤はマリエちゃんに向かってニッコリと笑顔で言った。
「マリエちゃん、ちょっと待っててね」
なにが、マリエちゃんだよ。
名前で呼んでんじゃねぇよ。
俺の気も知らずに、マリエちゃんに笑いかけた新藤はまた無表情で俺の方を見て言った。
「何か用?」
そのトーンの落差に一瞬、怯みそうになったけど、呼び止めたからには言ってやらなきゃ!
でも、何も考えずに走ってきたから話題が浮かばねぇ。
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