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甘く溶けていく 38
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父さんも母さんも新藤にデレデレし過ぎだし。
「部屋行こうぜ」
父さんと母さんが鬱陶しく感じたので、新藤を連れて部屋に戻る。
でも、新藤は部屋に入ってすぐに。
「そろそろ帰ろうかな」と言って荷物をまとめ始めた。
「え? もう、帰るのか?」
「うん。おばさん達も帰ってきたし」
「でも……」
今日は夜までいるとか言ってたじゃんって、恨みがましく言ってしまいそうになって咄嗟に口をつぐむと。
新藤が「寂しい?」と顔を覗き込んでくる。
「寂しくなんかねーよ」
──つい、嘘をついた。
「また、学校でね」
そう言って新藤は俺の頬に触れるだけのキスをした。
「あ、明日は……暇じゃないのか?」
「明日は用事があるから。また月曜日ね」
「お、おう」
べ、別に誘った訳じゃないんだからなって自分に言い訳をして見送る。
何日分にも相当するような濃い夜だったけど終わってみればあっという間で。
新藤が帰ってしまった部屋は前と変わらないのにガランとして見えた。
なんだよ。夜までいるって言ったくせに。
やっぱ、もう少しいて欲しいって言えばよかったかな。
寂しいって素直に言えばよかったかな。
でも、そんなことを考えてる自分にも怖くなった。
──ハマりすぎてるのは俺の方だ。
思っている以上に俺は新藤が好きに違いない。
さっき、見送ったばかりなのにもう恋しいなんて……おかしいから。
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