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その目で見つめて 14
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土曜日の夕方ということもあって駅前は賑わっていた。
「映画観る? それとも何か食べる?」
「……なんでもいい」
街中に出てみると急に気恥ずかしくなってそわそわしてしまい、思わずそっけない返事をしてしまう。
「じゃあ、何か食べようか」
しかし修平はあまり気にする様子もなく手を握ったままオシャレそうなカフェへと入って行く。
そのカフェの店内は見事に女の子ばっかりだったので、思わず繋いだ手を引っ張るようにすると、修平が振り返った。
「な、なぁ。修平。お、おれ、大丈夫かな」
「大丈夫だよ。千秋は可愛いよ」
いや、そういうことを聞きたいわけじゃないんだけど……。
そのまま手を引かれ、ソワソワしながら店員さんに案内されているとき修平が耳元で言った。
「千秋のお陰だね。ここ来てみたかったんだ」
「俺のお陰?」
「男だけじゃ入りにくいからね」
そっか、この店は修平が来てみたかった店なのか。
そんなことがわかったら緊張も少し晴れて興味が湧いてくる。
ディスプレイには色鮮やかなケーキがたくさん並んでいて、どれも美味しそうだ。
大きないちごがふんだんに乗せられているショートケーキとか、皮まで食べられるというシャインマスカットがこれまた溢れんばかりに乗ってるタルト。今の季節ならイチジクのケーキなんかもあった。
「このケーキ有名らしいよ」
修平が指差しているのは、季節の旬のフルーツが盛りだくさんのケーキ。季節ごとに使われているフルーツが変わるので年間通して人気のケーキなんだとか。
俺はそのケーキにしてみる。
こんなカフェなんて来たことなかったけど、おすすめケーキなんかを食べたり学校の話などをしているうちに緊張もほぐれて楽しめた。
たまに周りを見回してみると、修平のことを見ている人もいて。
さっき紅茶を運んでくれた店員さんも修平のことを見てた。
でも、その修平は俺のことだけを見ていて、たまにテーブルの上で俺の手をそっと握ったりして来て。
そのたびに俺は照れて赤くなってしまうんだけど、なんか絵に描いたようなデートっていうのかな。
向かいに座る修平の笑顔はケーキみたいに甘かった。
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