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俺だけがいない 10
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何もないなら行く、とでも言うように新藤がきびすを返そうとした。
だから俺はとっさに思いついたことを言う。
「お、俺の服……返してほしいんだ」
数日前、新藤の家に泊まったとき新藤の服を借りたので俺の着ていた服は一式まだ新藤の家にある。
いい話のネタを思い出したと思ったのもつかの間、新藤は表情を変えることなく冷たく言い放った。
「捨てた」
…………はぁ!? 今、何て言った?
捨てた? 捨てただと?
思いもしなかった答えに無性に腹が立って新藤に詰め寄るけど。
「どうして人のものを勝手に」
「…………いらないから」
いらないとはっきり言われ……。
その瞬間、俺の力が抜けていく。
でも再度、問い詰めようとしたときには、新藤はマリエちゃんと一緒に帰っていった。
その後ろ姿を見つめていると、俺のイライラは納まるどころか増大するばかりだ。
気にもされず、もちろん、振り向きもせず歩いて行く新藤を見ていると。
壊れてしまいそうなくらい腹が立つ。
………………くそー、やさぐれてやるっ!
「内川付き合え! 今日はやさぐれるぞ」
「確かに目の前で掻っ攫っていかれたらなぁ……。わかった付き合うよ」
内川は勘違いしているようだったが、そんなことはもうどうでもいい。
とりあえず、新藤に対する鬱憤を晴らしにいくまでだ!
それから俺と内川はゲーセン行ってカラオケ行って、お金が続く限り遊んだ。
内川はいい奴だ。
こうやって、付き合ってくれる。
それに比べて。
なんだよ。新藤の奴……。
────
それから新藤は次の日も、その次の日もマリエちゃんと帰っていた。
女子の間では、新藤についに彼女ができてしまったという噂で持ちきりだった。
そんな噂が耳に入るたびにイライラしてるわけだけど。
本当に付き合っているのだろうか。
……あんなキスをマリエちゃんにもしたのだろうか。
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