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俺の声を聞け 11
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キスが終わると修平に少し笑いかけて踵を返し、カナの方を睨みつけた。
「マジだよ。前に聞いただろ? 修平は俺にしか勃たないってさ。もう諦めろよ」
するとカナはふるふると小刻みに震えながら俯く。
予想しなかった展開に焦っているのか? それとも、ただ単に怒っているのか。
注意深く様子を伺っていると、次の瞬間カッと目を見開きカナが鋭い視線を俺に向けた。
そして、目を血走らせたカナは手に持っていたスマホを力任せに床に投げつけて叫ぶように声をあげる。
「信じらんない! ちょっとアンタたち見てないで予定通りにやっちゃいなさいよ!」
カナが男たちに命じれば、そのうちの1人がだるそうに起き上がると体の至る所の関節をならしながら俺に近付いてきた。
「俺は男なんか無理だけど。最近殴り足りなかったし、いっちょやるか」
さっきの俺たちのキスを見て男たちも戸惑いの表情を浮かべていたが、1人が立ち上がるとその他も一斉に立ち上がり俺を囲む。結局こいつらは人を殴れたら良いのかもしれない。
威勢良く啖呵をきったものの、ちょっとばかし人数が多くて焦る。
こんなことなら小さいときに格闘技系の習い事とかしとくべきだったかも。
構えていると1人が俺に殴りかかってきた。
それは運良く避けられたけど、反対側から殴りかかってきたやつの腕が顔に当たりよろけてしまう。
自慢じゃないが、喧嘩は全く強くない。
「やめてくれ。千秋に触るな」
修平の声の方を見ると、修平は後ろ手に縛られ押さえつけられていて、みるからにぐったりして声を出すのも辛そうに見えた。
……はぁ、早く修平と一緒に帰りたい。
「なぁ、お前らの気が済むまで殴られたら修平返してくれんの?」
俺がリーダーっぽいやつに向かって言ったらそいつはカナにそのまま伝えていた。
「おいカナ~俺らが気済むまで殴ったら修平返してやんのか?」
「そんなのいいからやりなさいよ!」
「だってよ。殴られ損になるかもね。チアキチャン」
カナの言葉にもリーダーらしき男のあざ笑うような目にもむかついて、何か一本プチンと切れた俺はそいつに殴りかかった。
「修平返せよー!」
その拳はまぐれにもリーダーの頬にヒットする。
でも当たったのはそれだけで、怒りを買った俺は袋叩きになってしまった。
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