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浅黄が綾倉家に来た日 1
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住込み家政婦の藍川が、運転手の紺野と話をしながら、買い物リストを作成していると、勝手口から通いの家政婦の水野が飛び込んできた。
「旦那様のお相手が今日から一緒に住むんだって!?」
「そうよ」
「そうよじゃないわよ。
知ってたなら教えてよ」
「私もさっき知ったのよ」
「だから、奥様を追い出したのね」
「さあ、それはどうかわからないけど」
「ご近所の噂になること間違いないわね。
大奥様も旦那様もいいのかしら」
「お二人とも、ご近所の噂を気にされるような方たちじゃないでしょ」
ご近所の噂の火元はあなたでしょうけどと思いながら、藍川は答えた。
「まあ、そうだけど・・・。
今晩、夕飯は3人で食べるんだって?
大奥様は初めて会うらしいわよ。
すごい楽しみにしてるけど、どうなのかしら」
「浅黄さんなら大丈夫よ」
「そ~お?」
「俺もそう思うよ」
運転手の紺野が口をはさんだ。
「二人して何?」
「浅黄さんはやさしい人だよ」
紺野の言葉に、藍川もニコニコとうなずく。
「やさしい? 奥様から旦那様を略奪して?」
「略奪って言っても、もともと、旦那様と奥様は普通と違う関係だったし」
「ねえ、お相手のことをなんて呼んだらいいのかしら。
まさか、『奥様』じゃないわよねえ」
「浅黄さんでいいんじゃない?
一応、藤原さんに聞いてみるわ」
「でもさあ、紺野さん、奥様がいなくなったから、失業しちゃうんじゃないの?」
綾倉の妻は、毎日、どこかしらに出かけていたので、運転手の出番は多かった。
「旦那様も、そんなに無情なことはなさらないと思うけど」
遠慮のない水野の言葉に、藍川がとりなした。
「いや、水野さんの言う通りだ。
次の仕事を探し始めた方がいいかもしれない」
「でも、大奥様のための運転手は必要でしょ。
それに、今日も、旦那様と浅黄さんを迎えに行くんでしょ。
これからも、旦那様や浅黄さんの用事で出番があるかもしれないわ」
「だけど、旦那様はせいぜい土曜日に使われるぐらいだし、お二人で出かけるときは、浅黄さんが運転されるし」
平日、綾倉が乗るのは会社の車であり、運転するのは会社で雇われた運転手だった。
そして、水野の前では言えないが、自覚がなかったとはいえ、自分は奥様の策略に一役買ってしまった。
旦那様がそのことで自分をやめさせるのではないかと心配だった。
「私が大奥様にもう少し、お出かけした方がいいって言っといてあげるわ」
あまりあてにならない水野の提案だったが、紺野は一応礼を言った。
「ねえ、あたしも、今日の夕食の準備、手伝おうか?」
自分から言い出した紺野の行く末から興味をなくしたのか、水野が話題を変えた。
「そうしてくれたら助かるけど、7時は過ぎるだろうからいいわよ。
水野さん、4時まででしょ」
「じゃあ、どんな様子だったか教えてよ」
「わかる範囲でね」
藍川が大変だからと気を使っての申し出ではなく、目的はやっぱりそっちねと、藍川は苦笑した。
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