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ブルームーン 2
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店に入って乾杯した後、藤井はあらためて、助けてもらった礼を言った。
男たちは、浅黄、黒澤、酒井、相田と名乗ると、さっきはなんだったのかから始まり、藤井を質問攻めにした。
「時々行く店で、今日、あるイベントがあって、その賞品がすごい欲しかったんだ。
でも、カップルでしか参加できなくて、一緒に参加してくれる相手もいなかったんで、さっきの男に声をかけた。
『やらせてくれるなら』って言われて、まあいいかと思ったんだけど、ホテルの前で、SMの性癖があるって聞いて、それはちょっとと思って。
でも、いくら断っても、しつこく追いかけてきて・・・」
そして、浅黄に助けられた。
「その賞品って?」
「コンサートのチケット。
もう、売り切れてて、普通には手に入らないけど、もし、手に入るならいいなと思って」
「そんな見知らぬ男と寝てもいいぐらい行きたいコンサートなのか?」
そう確かめられて、藤井は少し自嘲気味に笑った。
「俺じゃなくて、俺の好きな人が行きたがってるんだ」
「でも、お前の彼氏は、お前が知らない男と寝て手に入れたってわかったら、喜ばないんじゃないか?」
「彼氏じゃないから。
片思いなんだ」
「片思いの彼を喜ばせたくて? 健気だなあ」
黒澤があきれたように言った。
「好きな相手は会社の先輩なんだけど、俺、来月群馬に転勤するんで、その人と離れちゃうことが決まってるんだ。
だから、最後にいい印象を持ってもらいたくてさ。
まあ、自分でもばかだと思うけど」
「イベントって、どんなイベント?」
「なんか、運動会の騎馬戦みたいな感じで、二人一組になって、一人が帽子をかぶって、もう一人が他のペアの帽子を奪う。
自分たちの帽子が取られたら終わりで、たくさん帽子を取ったペアが勝ち。
さっきの男は背が高かったから、声をかけたんだ」
「なるほどな」
「そのイベントはもう終わっちゃった?」
「いや、まだ。あと、30分ぐらいで開始かな」
「俺と黒澤で出たら、勝てるかもな。
黒澤は馬鹿みたいに背が高いから、こいつが帽子をかぶれば取られにくいんじゃないか?」
浅黄が身を乗り出して言った。
「よし!やるか」
黒澤もやる気満々に答えた。
そして、早くエントリーしに行こうと二人が立ち上がり、他の3人も従った。
藤井は少し面食らって、「二人とも結構飲んでるけど大丈夫?」と隣を歩く酒井に聞いた。
「結構、飲んでるからこそ、こういう展開になったんだと思うよ」
酒井は笑いながら答えた。
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