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推敲を重ね、整理し組み立てを変えたりしながら僕の綴った小説は完成した。秋元さんの協力なくして、ここまでたどり着けなかっただろう。完成した原稿を渡した時に言われた。
「これは先生と木崎さんの物語ですね」
そう、そのとおりだ。気持ち悪くないのかと聞いた僕に、いつもの柔らかい笑みを浮かべて秋元さんは言った。
「ぜんぜん。木崎さんは先生を綺麗だといいました、きっぱりと。あの時思ったんです。
木崎さんみたいな人なら男だろうが女だろうが抵抗できないと。この本の崎田という男そのものですよ、木崎さんは」
そうだよ秋元さん。だけど、そんな風に第三者がユキのことを思うことにイライラしたのが本音だ。ユキに渡せと押し付けられたラブレターのように、僕の心を燻らせる。
「先生、この本は売れますよ。絶対売れます」
何を根拠にそういうのかわからないが、まあ売れるにこしたことはない。
こうしてまた僕の心が晒されることになった。
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