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額、瞼、鼻、頬、いたるところにユキの唇がおりてくる。目を閉じていても僕を見下ろす優しい顔が見える。
唇をゆったりと挟み込まれて、舌先でくすぐられるから、迷わず口をあけてユキを待つ。僕を追いかけ、焦らし、探り……自由に動く舌先が快感の源によどみなく信号を送る。
17歳の頃、初めてユキとしたキスは喰われると感じる恐怖でしかなかった。今のキスはまったく違うものだ。
僕たちは互いに確認し合っている。自分以上に大事である相手のことを……ぴったり寄り添った互いの想いを。
僕はたまらずユキにしがみついた。今までのSEXで僕の腕は脇に置かれた物でしかなかったのに、背中や首筋に絡みつき指先でユキを探り続けている。もどかしい、布が邪魔だ!
シャツを無理やりボトムから引きずり出す僕を見てユキが笑った。その笑みは、それだけで僕を熱くするに充分な熱を帯びているから思わず視線をはずしてしまう。
ユキは僕にまたがったまま、猛然と服を脱ぎだした後、どんどん僕を裸に剥いていく。されるがままだ。
ぎゅっと抱きしめられて、素肌が触れあい、それだけでイキそうになる。ああ……ユキに埋もれていく。
僕の首筋に顔をよせて舌を這わしていたユキが「う」と呻き声をあげた。荒い息が耳をくすぐる……そしてそのすぐ後に濡れたような感覚が皮膚から伝わってくる。手を伸ばすと、そこは吐き出されたものが……僕のじゃない。
頬をそっと触られてユキを見上げると、鼻さきにポタリと落ちる滴。
「気持ちいい、嬉しい。幸せ……愛おしい。知らなかったんだ……俺知らなかった」
そんな顔しないでよ。視界が曇ってユキの顔がぼやけてしまう。
「どうしよう、シュン。SEXって身体が気持ちよくなるだけじゃないだ。心が震える、心が気持ちいいって……言ってる。
幸せすぎて泣けてくる。何もしてないのにイっちゃってるし、手が震える……」
僕の頬の横で震えるユキの手を感じる。その手のひらに唇を寄せてそっと口づけた。
「もっと気持ちよくなろう……気持ちよくして」
僕の言葉が合図のように、いきなり握りこまれて腰がはねた。ゆるゆると扱きあげられ呻き声がでる。ユキが溢れさせたものを塗りたくるように腹の上で転がされる。
「いや、っあ」
「気持ちよくなるんだろ?」
ユキ自身と僕が一緒に握りこまれて、刺激が与えられる。
「あ、熱いっ」
僕を欲しいと思ってくれている、こんなに熱くなって……甘い刺激と昂ぶりの大きさに、思わず涙がこぼれた。
優しい口づけが降りてきたその後、ふくれた舌がねじ込まれる。執拗に動く舌が咥内を這いまわり、追い上げられ熱が生まれていく、どんどん……どんどん。
息……ができない、苦しい。その苦しさは脳内で快感に変えられて容赦なく降り注ぎ、声が漏れだす。
もう…だめ
「うわぁぁ…あ、うぐっ、くっ」
お互いの先走りのぬめりを助けに、扱きあげるスピードが増して声が漏れる。
ユキの舌は引き抜かれて、唾液の筋を残しながら首筋を通り胸元へ移動していく。触られていないのに、尖りはすでに立ち上がっているから僅かな刺激でさえビリビリと全身に響き渡った。舌でねぶられ、甘噛みされると一気に射精感がせりあがってくる。
「も、ダメ。だめ、ユキ、あ、い…いくっ、い」
握りこんだまま、大きく腰を振られてユキの昂ぶりが僕に強くこすりつけられた。せりあがるものを止めることができない
「ああああぁあっ、い…く、いくぅっ、あ…あぁ!!」
吐精したあとのけだるさに身をゆだねて、涙で滲んだ目を薄く開けた。視界に飛び込んできたのは、僕にまだがり見下ろしているユキ。その瞳は妖しく光り、熱情が奥に煙っている。
僕がイクのを見てた?
さっきは涙をこぼして震えていたというのに、そんなユキはここにはいない。捕食者のように獲物を見据える、色にまみれた一人の男だ。
「何も考えないで、俺だけを感じて」
僕たちは互いの心に灯った想いを伝えるために、相手に触れ続けた。口づけを交わし、互いを味わい、探り、追い立てる。
余裕などあるはずもなく、ただただ相手を欲し存在を確かめ合う。想いの強さと深さを力に変えて僕達はひたすら昇りつめた。
丁寧にほぐされて準備が整った場所に、ユキの熱く猛ったモノがあてがわれる。
あぁ、飲み込まれる……ユキに見下ろされて、僕は溺れそうで息が苦しい。内臓がよじれる。
「ユ、キ、ああぁ。息がで、きない」
僕は息も絶え絶えに訴えるのに、ユキはまったく聞いてくれない。滲み出るような色に、僕も浸食されていく。
左足を抱えあげられ、一層深く侵入される。
「うわぁぁ、くぅ…あぁ」
僕は呻くことしかできない。僕の中にユキを迎え入れているというのにユキにのみこまれてしまう。僕が僕でなくなりそうだ。
苦しい、気持ちいい、よじれる、あぁ……
「俺をみるんだ、シュン」
名前を呼ばれたせいで無意識に後孔が収縮し、ユキを締め付けた。
「くっ」
ユキの呻きは僕の脳天に突きささる。
うねる様な容赦ない律動によって僕は暗闇に引きずられていく……だからしっかりユキの腕を掴む。
これ以上溺れてしまわないように。ちゃんと生きていられるように。
熱い迸りを体内に感じた時、僕は初めて「現在」に戻ってくることができた。僕たちの過去は塗りつぶされ、後悔は違うものに変わり、ようやく僕らはお互いの存在に安堵した。
ユキ……やっぱり君は間違っている。『思いやり』なんか必要ない。
必要なのは「愛おしい」という心と想い……。
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