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優しいと思える人たち
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「ほんとにみんな酷いよね俺だけに」
「でも最初に比べたらお前だいぶクラスの奴らと仲良くなったよな」
「それは自分でも思った。」
伊宮に柊羽との過去の話をした時の俺はクラスの人たちが嫌いだった。
話したことがあるわけでも嫌いなところを見つけたわけでもないけど、明らかに俺に対して軽蔑した目を持っている人がいたり顔がいいからと外見で判断したりするのがわかる人が多かった。
だからあまり1年生の時は学校が楽しいなんて思わなかったし、伊宮がいたから別にいいかなぁ、とも思ってた。
でも2年生のクラスメイトの人たちは全く違った。
この高校は進級する1週間前にクラス表が渡る。
最初はあまりにも渡るのが早すぎるんじゃないかな、とは思ったがそっちの方が意外と良かったなと後から思った。
クラス表を見ると、1年生のときと同じクラスだった人は4人しかいなく、そのうちの1人は伊宮だった。
それは本当に良かった、と心から思えた。
けど、どうせ1年生のときの人たちと同じで俺や伊宮を冷たい目で見たりする人がいるんだろうな、とも思った。
けどクラス表が渡ってから他のクラスの、2年生になったら同じクラスになる予定の人たちから、
「よ!橘と伊宮だろ。2年生なったら同じクラスだからその時はよろしくな!」
と廊下ですれ違ったときに話しかけられたり、
「うわー、噂の通り橘って顔整ってんなー。てか伊宮って本当に金髪なんだな。それ、ブリーチ?髪の毛いたまねぇか?」
と興味本位で休み時間に聞いてきたり、
「橘と伊宮って本当に仲いいんだな」
と笑顔で言われたりしてなんとなく変な感じがした。
なんか、むずがゆいと言うか、今まで向けられてきた視線と違って優しいような温かいような、うん。
そんな感じの。
だからなんか、嬉しかった。
偏見とかなく、ただ、同じクラスメイトになる人として見てくれたのは俺も伊宮もすごい嬉しかった。
入学式前に1度、同じクラスになる予定の人たちと念のための顔合わせもした。
この高校、進級することに対してどれだけ重要視してるんだ。
でも本当に優しい人たちが多くて、とても居心地が良かった。
放課後、伊宮と帰っていたときに、
「優しかったな。」
「優しいな。」
と2人で話していた。
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