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電車を降りて、ホームの端にある人気のないベンチに腰掛けた。
悠哉は何も言わずに背中をさすって、俺が落ち着くのをただただ待っていてくれた。
数分後、呼吸も落ち着いてきた俺に、悠哉はゆっくり低く問うてきた。
「何で… なんで抵抗しなかった?」
『…………勝てる相手じゃなかった。』
「勝てる勝てないじゃないだろ… 怖くないのかよ…」
『怖いよ… でも、男だぞ?相手も、俺も… 男が男に痴漢されましたって、大声出して言える内容じゃねえよ…』
そう言う俺に、悠哉は納得いかないながらもそれ以上は追求してこなかった。
そのまま時間は過ぎ、ホームの時計は8時を指している。このまま学校に行ったところで遅刻は免れない。それに、学校でいつも通りの俺でいられる自信が無い。
……帰ろ
今日くらい、いいよな。帰って、気持ち悪い手に触られた体を洗って、寝たら忘れてるだろ。
『悠哉。俺、帰るから。先生に休みって言っといて。』
「真琴が帰るなら俺も帰るよ。今一人にしたらお前死にそうなんだもん。」
『何だそれ。死なねえからお前は学校行けよ。』
「学校より真琴が大事。」
なんでそんなこと言うかな…
勘違いしそうになるからやめてほしい。
悠哉の言葉に不覚にもときめいてしまった俺は、しぶしぶ一緒に帰ることにした。
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