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無理です…
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帰ってきちゃった……
待っていろと言われソファで一人で座っていたが、やはり青木と出会った事を思い出し恐怖からの震えに耐えられず帰ってきてしまった。
「 怒ってるかな…… 」
怒ってくれたら嬉しいけどな・・・・・
そんな事を考えながらも、恐怖心は消えない
明日からどうしよう、きっとここに居たら来るかもしれない…… また昔に戻るのはイヤだ……
吐き気を感じトイレへと向かおうとすれば
ピンポーン・・・・
足が止まる、足に力が入らず全身の震えにその場に座り込んでしまった
来たの・・・・・もう
体がガタガタと震え、自分で自分を抱きしめる
コンコン コンコン
( どうすれば…… )
耳を塞ごうと、手を伸ばした時
「 綾人君、いるか? 」
俺の大好きな声が聞こえた、
え、え?何で? どうして叶さんが……
震える足で何とか玄関ドアに辿り着いたが手をかけてそのままドアノブを回すことは出来なかった。
「 綾人君? 」
ドア向こうには叶さんがいる、でも無理だ……
青木が叶さん達に俺の話を聞いていたら… 考えたくない事が頭をかすめる。話をしてなくても、泣いていた理由を説明しろと言われて何て言えばいい……
『 汚い・・・・・ 』
青木との出会いが過去の言葉を脳内で一杯にする
恐怖しかない綾人にはどうしたらいいのか分からず、ただ黙ってドアの前に立っていた
( 早く帰って…… )
心の叫びが聞こえたのか、叶の声が聞こえた
「 綾人君、待っているから 」
そう言い残し、足音が遠くなって行った
聞こえなくなった足音に、綾人はそのまま玄関に座り込む
「 ごめんなさい… 」
涙と共に出た言葉に、何に謝っているのか自分自身でも分からないが声に出ていた。
どれくらい泣きながらその場にいたのか分からない、涙が止まり気持ちが落ちついた頃、『 ピンポーン 』
また、チャイムが鳴った
え?誰?・・・・・ 今度こそ…
立ち上げろうとした時に
「 早く開けろ、クソ四宮! 」
「 ッ? えっ? 社長? 」
驚きと社長の声に迷わずドアを開ける
「 何だ、居るじゃねぇか。ったく… 」
「 社長、あ、の…… 」
「 早く中に入れろ!この俺がワザワザ来たんだ。珈琲位は出してもらわないと 」
「 ハイ! 」
条件反射的に、返事と共にどうぞと中へ招きいれた。
「 狭いな、狭いよ、狭すぎる 」
文句を言いながらも脱いだ靴をきちんと綺麗に揃える社長は育ちがいいんだと思う。
ドカッと座り、早く美味しい珈琲を出せと言う社長に思わず笑ってしまった。
「 叶が会いに来ただろう、何で会わない 」
社長は俺の方を見ず部屋をキョロキョロとしながら問う
「 あ、そ、…… 」
「 会社辞めるか? それとも逢うか? 」
社長は俺の目をまっすぐ見ながら聞いてきた
「 そ、れは……… すいません…… 」
「 何で謝る? 」
「 無理です…… 」
「 何が? 」
イライラしながらも俺の顔を見ながら話を聞いてくれている社長…… 迷いがある
話してしまおうか……
社長なら……
「 独り言ならいいんじゃねぇの? 」
「 はっ? 」
突拍子のない社長の言葉に、声がひっくり返る
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