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好きなのに①
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悠斗は寝間着のままだったため、一度部屋に戻らなければならなかった。
皆は朝食に出ている時間だから部屋には誰もいないと思っていたが、部屋に入るとハルがいた。
「ユウト!」
「…ハル…」
ハルに見つかってしまい、言い訳を搾り出そうとするが何も浮かんでこない。
「どこにいたんだよ?オレ、早く起きたのにもうユウトがいなくて、朝メシんとこ行ってもいなくて…」
「ごめん…」
「ユウト、なんかヘンだ。元気ない。合宿中ずっとヘンだった」
「そんなことない」
悠斗は否定したが、ハルは悠斗から目を逸らさずに問い質した。
「何かあっただろ?なんか困ってる?なぁ、オレなんでもするから…ユウト…そんな顔すんなよぉ…」
ハルは悠斗の寝間着をつかんで引き寄せると、悠斗の肩に顔を埋めて抱きついた。
悠斗はハルの背中に手を添えたかったが、自分のこの手は、この身体は、九条に汚されてしまった汚いものだから、ハルには触れられなかった。
悠斗の頬に涙が伝った。
「…っ…」
つい、ハルに弱気を見せてしまいそうになるのをぐっと堪えた。
ハルに心配をかけさせちゃいけない。
ハルの前では平然として、ハルの笑顔を守らないと。
「ハル…ほら、俺らもう5年生だしさ、…こーゆーの、恥ずかしいっていうか…抱きついたり手繋いだり…やめようぜ」
悠斗はハルに見えないように涙を拭い、声が震えないように強がった。
「なんで?オレはユウトが好きだからしてるだけ」
なんでそんなことを平然と言えるんだ。
その好きが俺の"好き"と違うからだろ?
このままハルにキスをして押し倒してやろうか?
「----ッ!」
自分の卑しい思考に気づき、悠斗はハルを押し退けて距離を取った。
「だから、そーゆーのもうやめろよ!!」
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