アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
スマホ②
-
「ふざっ…!」
悠斗は怒りのあまり九条に掴みかかった。
「……ッ」
九条を睨みつけて歯を食いしばるが、それ以上言葉が出ない。
どんなに悪態をついても、九条には敵わないことを思い知らされている。
九条は怒りと怯えの混ざったその表情を見下ろして嘲笑う。
終わりのない絶望に顔を暗くし、悠斗はその場に崩折れた。
「…俺、…なんで俺なんですか…。俺はただ…ハルを好きなだけなのに…」
「私が君を気に入った。それだけのことだ」
「……」
「君は青葉のことを忘れて、私のモノになればいい。すべて私に委ねろ」
「ハルを忘れるぐらいなら先生のモノになんかなりません!」
「君は本当に自分の立場がわかっていないようだな」
九条は床に落ちているスマホを手に取り操作すると、画面を悠斗のほうに向けた。
「君が私のモノにならないのならターゲットを変えるまでだ…青葉春、アイツはどんなイヌになるかな?」
画面にはハルの笑顔が映っていた。夏合宿のときの写真だ。
悠斗はそれを見て怒りが頂点に達した。
「…あなたは…どこまで…ッ!!」
「私は君を手に入れるためならなんでもする。青葉を守りたいなら、私の従順なイヌでいることが賢明だということだ」
「あぁああ!!!」
悠斗の理性が切れ、力の限り右腕を振るった。
大振りのパンチは九条の右手で受け止められ、がむしゃらに蹴りを出すと足をかけられ簡単に床にねじ伏せられた。
「くそッ…!この、最低教師…!あんたなんか大っ嫌いだ…ッ!!」
悠斗は顔を床に押し付けられ、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら吠えた。
悠斗の顔のすぐ横に、ハルの写真が写ったスマホが置かれる。
「答えろ、君は私のなんだ?」
「…俺は…大っ嫌いなあんたの…ッ…馬鹿な…イヌだ…っ」
悠斗はそう答えるしかなかった。
悪態をつきながら、九条に抗うことはできなかった。
悠斗は嗚咽を隠そうともせず、その場で泣きじゃくった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
48 / 292