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リクエスト① 4
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「会長」
「なんだ」
「はぁっ…会長」
「だからなんだ」
おれを膝の上に抱っこした火宮が、真鍋に向かって冷たく返事をしている。
だけど目だけはずーっと、おれのことを見下ろしてるんだ。
「えへへ」
「ふっ、なんだ」
「んーん、好きだなぁって」
「ククッ、あまり可愛いことを言われると、今すぐ食いたくなる」
そう言いながら、ペロンとほっぺを舐めてくる舌べろがくすぐったい。
「っーー!会長っ!」
うわっ、びっくりした。
いきなりの真鍋のさけび声に、思わずからだがピョンと跳ねた。
「脅かすな」
「っ、失礼いたしました、ですが!」
「ふん」
急に冷たくなってしまった火宮の顔が、ようやく真鍋に向かう。
「はぁっ。翼さん幼児化の原因が分かりました」
「ほぉ?」
「浜崎の話によりますと、どうやら怪しげな健康ジュースの試飲が原因のようでして」
「健康ジュース?」
ピリッとした火宮の空気が、なんか怖い。
「ひみやさん?」
クイクイ、と袖を引いたら、火宮は小さく微笑んでくれた。
「あぁ、大丈夫だ。おまえは悪く…試飲?」
「はい」
「おまえ…」
はぁっ、と深いため息をつかれて、おれはコテンと首を傾げた。
「前にデパ地下に買い物に出かけたときも、そういえばやたらと試食だ試飲だのコーナーに興味を示していたが…」
「会長?」
「ったく、いつかやらかすかと思っていながら注意しなかった俺も悪いが、見ず知らずの人間に出されたものを、無防備にホイホイと口にするおまえの危機感のなさはどうだ」
「え?」
な、なんか火宮さんの顔、ニコニコなんだけど、ゾワッてするよ?
「だからあれほど俺以外の人間にたやすく懐くなと言ったのに」
「ひみやさん?」
「これは仕置きだな」
あれ?
あんなにニコニコだった火宮の顔は、なんだかニヤッて悪いひとみたいになってて…。
「やっ…」
ほんのうてきにやばい、って気がして、おれは火宮の膝から逃げようとジタバタした。
「ククッ、だがこの体型のままではな…真鍋」
「はい。もちろん、解毒剤…といいますか、元に戻るであろう薬も入手済みです」
スッと差し出されたのは、何かのこびん。
けんこうジュースみたいな見た目の茶色いびんだ。
「ふん。一口で大人の魅力増強?素敵に歳を重ねます…ね。怪しいことこの上ないな。大丈夫なのか?」
「売り子を捕まえて飲ませましたところ、無事、元の実年齢であろう老婆に戻りましたのを確認しております」
ひと通りびんを確認した火宮が、飲め、とそれを差し出してきた。
「えー」
「甘いらしい。フルーツフレーバーだと」
「あまいの?じゃぁ飲む」
ジュースだー、と思って、そのびんを受けとって飲んだおれは、ふらぁ、っとねむくなるのを感じて、すーっといしきが消えていった。
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