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リクエスト③ 内緒話 2
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「いやないわ」
「浜崎、作りすぎ」
「一瞬マジで聞いて損したー」
わははっ、と笑い出すみんなに、浜崎が1人、むっと口を尖らせる。
「嘘じゃないですって、マジで」
「ないない。会長にそんな発言した時点で、そのイロ、ぶっ飛ばされてるから」
「その前に真鍋幹部辺りに排除されてんだろ」
ケタケタと笑って馬鹿にする男たちに、浜崎が言い返そうと口を開いた瞬間。
ガチャッ…。
「何だ、誰もいな…おまえら、そんな隅で集まって、何をしている」
ふと、またも部屋のドアが開き、がたいのいい強面の男が入ってきた。
「っ!池田幹部っ…」
「あっ、池田幹部、いいところに!」
ジロッと向いた鋭い視線にめげずに、浜崎がパッと池田に駆け寄り、その腕をグイグイと引いてきた。
「なんだ、浜崎…」
「もう、池田幹部からもこいつらに言ってやって下さいよー」
「何をだ」
「伏野さんっすよ。伏野さん、会長に言いたい放題でも、何ともないっすよね!」
じっと注がれる部下たちの視線に溜息をつきながら、池田は深く頷いた。
「あぁ。俺も始めの頃は驚いたものだが。翼さんがどんな暴言を吐こうとも、どんな暴挙に出ようとも、会長は笑ってお許しになられるし、むしろ楽しんですらおられる」
えーっ、と一斉に上がった叫び声に、池田がうるさそうに顔をしかめた。
「まぁ、間近で見るまで信じられまい」
「あの会長が?」
「マジですか?」
「幹部がおっしゃるなら本当ですよね…」
ざわざわと広がる動揺を、浜崎が満足げに、池田が苦笑して見つめる。
「それだけ今のイロが会長にとって特別だということだ」
「はぁ…」
「先日、デートの護衛についたんだがな」
またレアネタ!と、今度は池田の話にみんなが食いつく。
「たまたま通りかかったアイスクリーム屋か何かに、行列ができていたんだ」
「はぁ」
「それに翼さんが並びたがって、会長もお並びになられた」
「え!」
「は?マジで…」
「あぁ。もう護衛たちが慌てふためいてな、代わりに並ぶからどうか、と願い出たが、デートだから邪魔立てするなの一点張り」
「ふへぇ…」
「挙句…歩き食べを始めた翼さんが…会長に二言三言話しかけたかと思ったら、その舐めていたアイスを会長に差し出した」
「は?」
「え?」
「いやそれ、会長さすがにキレるっしょ…」
ざわざわと騒めく男たちの間に、池田のよく通る声が響いた。
「会長は突き出されたアイスを…あーんしてお食べになられた」
ポカン、と固まった男たちの顔が、またまたずらりと並んだ。
「会長が食べかけのアイスを…?」
「会長があーん?」
「そもそも会長がイロにねだられたからって、行列に並ぶとか」
「「「「マジかっ…」」」」
一様に顔を引きつらせた構成員たちが、互いに顔を見合わせる。
「そ、そのイロ…何者?」
「凄すぎっしょ。あの会長に暴言暴挙…」
「しかも会長を笑顔になさるとか」
「神?!」と、騒ぐ男たちに、池田と浜崎が力強く頷いている。
「本当、伏野さんはすごいお人っす」
「確かに特別も特別。偉大な方だな」
現実を目の当たりにしている2人の言葉は重い。
ざわざわと、すっかり話に夢中になっていた池田以下、ここの持ち場の構成員たちは、そこに新たな第三者、鬼の真鍋が現れていたことに、まったく気づいていなかった。
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