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鬼の霍乱 1
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【本編265話、執筆後】
ヤクザな人々のヤクザなお話。
なんかもう、色々とやらかしてます。
真鍋と夏原の絡みありです。
火宮がエグいです。
※R18ご注意下さい。
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トントンと書類の端を揃えて、夏原がニコリと微笑んだ。
「以上です。お疲れ様でした」
「あぁ」
「ところで会長、今日も相変わらず能貴の姿が見えませんが。また今日はどこに隠して下さいました?」
出来立てほやほやの書類を鞄にしまいながら、にっこりと目を眇める器用な顔の夏原に、火宮はシラッとした冷たい目を向けた。
「今日は本当の使いだ」
「なぁんだ。そうですか、残念」
ちぇっ、とつまらなそうに口を尖らせる夏原に、火宮がさすがに苦笑した。
「まだあいつの尻を追っ掛けているのか」
「落とすまでずっとですよ」
「ククッ、だからあいつが同族のおまえに落ちる日など…」
火宮が呆れたように言いかけたとき、慌ただしいノックの音が鳴り響いた。
「誰だ、騒々しい…。来客中だ…」
「会長っ!失礼しますっ、真鍋幹部がっ。真鍋幹部が、拉致られたとの情報がっ…」
バタン、と慌てふためいて飛び込んできたのは、真鍋の部下で幹部の池田だ。
その口から走った言葉に、火宮と夏原の口がポカンと開いた。
「は?真鍋が?」
「え?能貴が?」
何を言っているんだ、という2人の表情に、池田が困ったように眉を寄せた。
「はい、その、真鍋幹部が…」
「いやいやいや。これ、どういうことです?会長?」
「さあな。真鍋には、某組織の動向が怪しいから、秘密裏に探らせていたんだが…。まさか真鍋がヘマをすることなど」
あるわけがない、と断言する火宮は、真鍋に絶対の信頼を寄せている。
「ですがその…真鍋幹部が潜入させていた男によりますと…」
かくかくしかじか、と説明する池田に、火宮と夏原の顔が納得顔になっていった。
「そいつの妹を人質に取られたのか」
「それは…能貴もさすがに冷静さを欠くか…。敵は思いがけず、能貴のウィークポイントを突いたってわけですね」
「アレの命日が近いからな、時期も悪かった」
あいつも人間か、と呟く火宮に、夏原が小さく苦笑した。
「行くぞ、池田。腕が立つのを数人見繕え」
バッと椅子から立ち上がった火宮が、素早くコートを羽織る。
「あっ会長!俺も連れて行って下さい」
「はっ、弁護士先生を?遊びじゃない」
「腕なら」
そこらのヤクザより立つ、と笑う夏原に、火宮が薄く目を細めた。
「手出しはするな。おまえはあくまで弁護士だ」
「分かりました。ただ、能貴の無事だけをこの目で確認できれば」
「ふん、いいだろう。来い。うちの大事な右腕に手出ししたんだ、きっちり礼をしに行くぞ」
ぶわっ、と黒いオーラを纏って前を行く火宮に、池田以下、数人の部下と夏原が続いた。
「発信機の位置は」
「隣町の廃倉庫です」
「敵の予想人数は」
「20に満たないかと」
「分かった。正面突破だ」
素早く用意された数台の車に分乗し、火宮たちは真鍋が囚われているだろう場所へ急いだ。
そうしてたどり着いた廃倉庫で。
「こ、れは…」
「クッ、幹部と名がつくだけはあるさ」
地面に気絶している敵の数、ゆうに10人越え。
そのどれもが再起不能なほどきっちりと沈められている。
「誰だっ!」
「それ以上来るな。来ればこいつがどうなるか…」
スゥッと奥に移した火宮の視線の先には、残った数人の男に囲まれ、息を荒くして地面に蹲っている真鍋の姿があった。
「真鍋っ!」
「く、っ、申し訳、ございません、か、いちょ…」
「ふっ、後5人か。池田、9時10時」
「はっ」
「夏原、キレるなよ?」
「ッ、大丈夫、です」
スゥゥッ、と息を吸った火宮が、それをピタリと止めて。
「行くぞ」
ボソッと呟かれたその声に、池田とその部下、火宮が同時に地を蹴った。
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