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リクエスト⑤ 風邪1
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【本編265話、執筆後】
aya様よりリクエスト《翼が風邪をひいて注射される話》です。
「火宮さんは相変わらずのドSだけど心配しているという設定」
こんな感じに仕上がりました♡
時系列的には入籍後なのですが、諸事情により伏野呼び、伏野名乗りです。
ご容赦下さい。
だいぶコメディタッチでしょうか?
よろしければお楽しみいただけると嬉しいです。
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あれー?
朝、目が覚めたら、ぐらぁ、と世界が回った。
「うぇ、気持ち悪い…」
頭はフラつくし、何だか顔が熱い。
なのに身体はガタガタと震えるほど寒くて、鳥肌が立つのはなんでだ。
とにかく俺は、毛布にくるくると包まって、うん、と1つ頷いた。
「これは、あれか…」
人生16年、何度か経験したことのある感覚に、俺ははぁっ、と溜息をついた。
「風邪引いたな…」
思えば今も、毛布の中は素っ裸。
昨日火宮と愛し合ったまま、服を着る気力も残らずにそのまま寝てしまったんだっけ。
「火宮さんはとっくに出勤したよね…。とりあえず服」
どこに捨てられているかな、とベッドの下を覗き込んだら、かなり遠くに落ちているのが見えた。
「あぁ…」
渋々ベッドから下りて、服を拾い集めに行く。
1歩進むごとに、ぐわんぐわんと視界が回る。
「これは本格的にやばい…」
とにかく何とか服を拾い集めて身につけた俺は、フラフラしながらリビングに出た。
「浜崎さーん…」
体温計と薬と栄養ドリンク、と思って内線をかけた俺は、そこまでしたところで、力尽きて床に座り込んだ。
「あぁ、せめてソファまで戻りたかった…」
へにゃりと壁に寄りかかったまま、目を閉じる。
少し目眩が楽になるような気がしてホッとした。
「伏野さんっ!」
「ん?」
バンッ、と慌てふためいてリビングに飛び込んできたのは浜崎で。
ゆっくりと瞼を持ち上げた俺は、ますますゾクゾクと感じる寒気に身を震わせた。
「そんなところで!とにかく一旦ソファに。そんでお熱測ってもらって。会長には連絡したっすから。迎えがすぐに来ます。オレ、上着とか用意しますんで、医者に行きましょう」
ワタワタと慌てながらも、ソファまで介助してもらい、体温計が差し出される。
「あの、医者って…大丈夫ですよ、多分ただの風邪ですし。暖かくして寝てれば治る…」
「駄目っす!それで万が一何かあったら、大変っすから!」
「いや、そんな大袈裟な、ね?」
確かにかなり重症な自覚はあるけど、医者は苦手だ。
医者っていうのは、あれだ。
大概痛いことをしてくるイメージがある。
「どんな偏見っすか。医者は痛みや辛さを治してくれる人っすよ…」
「でも治すためにするじゃないですかー」
注射だ、点滴だ、って。
嫌だー、と呟いたところで、ピピッと電子音が響き、俺は腋から体温計を取り出した。
「39度7分!ちょ、伏野さんっ、重症っす!さぁ、上着持ってきたんで、行きますよ!」
部屋の隅のコート掛けから取ってきてくれたジャンパーを羽織る。
「やだなぁ…」
「そんなフラフラで何言ってるんっすか。大丈夫っす。会長も職場から直接病院に行って下さってますから、ね?」
「え゛!火宮さんも来るの?」
「当たり前っすよ。イロの一大事なんすから」
ほら、と玄関まで辿り着いた俺に、ご丁寧に靴が揃えて差し出される。
「あの人が俺の味方だとは思えない…」
そりゃ、心配は心配でしてくれるだろうけど、それ以上に、弱った今の俺で遊んで来ない保証はない。
むしろイレギュラーなこの状況を利用し、楽しむくらいはする人だ、と思うから、余計に憂鬱だ。
「あの、伏野さん?その…会長を何だと思ってらっしゃるんですか…?」
恐る恐る尋ねてくる浜崎に、俺は精一杯の笑顔を向けてやった。
「どSで意地悪で、弱った俺をここぞとばかりに苛めてくるだろう、性悪な悪魔」
「………まさかぁ」
へらっ、と笑った浜崎の顔が引きつっている。
「病人とか、病院とか、ネタありすぎじゃないですか…」
「いやでもそんな、会長が病気の恋人に意地悪なんて」
するわけない、って言い張る浜崎はさすがの火宮信者様。
「知らぬが仏ー」
はぁっ、と呟いたところで、エレベーターに乗り、一階に着いていた俺は、迎えの車に乗せられた。
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