アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
リクエスト⑧ 鬼の撹乱II 1
-
【本編279話、執筆後】
ふりかけ様よりリクエスト《真鍋さんも幼児返りしないかなぁ...》のお話です。
もう色々やらかしております。
ものすごくやっちゃってます。
真鍋様すみません!
どうやら作者、真鍋いじりが好きなようです。
鬼さん、またも撹乱しておりますが、よろしければご覧ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
パンッ!
最後に手を一つ叩いて…。
夏原が、ニヤニヤと悪戯な笑みを浮かべながら、両手のひらを合わせて真鍋を見つめた。
ここは夏原の法律事務所内の夏原の部屋の中。
仕事の書類を、たまたま用事のついでだった真鍋が、嫌々、本当に嫌々届けに来たところを、夏原がこれ幸いと引き止めた結果、真鍋は今、コーヒーカップを片手に、ソファに静かに座っていた。
その顔を、夏原が何故かワクワクと見つめているのだ。
「能貴?」
シーンとしたまま、ソファに座った姿勢でピクリとも動かない真鍋の顔を、夏原が覗き込む。
「あー、えーと、さ、さすがにふざけ過ぎたかな?」
あまりに無反応な真鍋の姿に、夏原が根負けして、あはっ、と誤魔化すように愛想笑いを浮かべた。
それでも真鍋は何の反応も見せない。
「能貴?」
さすがに夏原の顔が怪訝なものに変わり始めた、そのとき。
ジッと夏原の顔を見つめた真鍋が、コテンと首を横に倒した。
「おじさん、誰ですか?」
きょと、と夏原を見た真鍋の目が、丸みを帯びて透き通った色でキラキラとしていた。
「は?え?」
「えっと、ここは、どこかの会社ですか?」
キョロキョロと室内を見回した真鍋が、困惑したように眉を寄せた。
「えっと、ぼくは…」
「ぼくっ?!」
「ひゃっ、な、なんですか?」
夏原の口から上がった素っ頓狂な声に、真鍋が、ビクッと身を竦めて、そっと夏原を窺った。
「え?マジで?まさか本当にかかっちゃった?」
「おじさん?」
「うわー、その呼び方、微妙に傷つくんだけど。だって能貴と俺、そんなに年の差ないよ?」
俺が36でー、と指を折っている夏原に、真鍋の怪訝な目が向いた。
「ぼくは5さいです。おじさんとは30さいちかく差があるとおもいます」
変な大人、と言わんばかりの真鍋に、夏原の顔がさすがに引きつった。
「これ、マジなやつか…」
「あの…」
「能貴に俳優並みの演技力があるんじゃないとしたら…。そもそもこんな演技、能貴になんの得もない」
「おじさん?」
「うわぁ、これは本当の本当にかかっちゃったんだ、催眠術。俺にこんな特技があったなんて」
わぁ、と叫んだ夏原が、目をパチパチと瞬いている。
「5歳?5歳って言ったよね?さっき。見た目は30代のままなのに、中身が5歳とか、マジでやばい。幼児返りした能貴とか、本気で俺の理性がもたない」
ハァハァ、と息を荒くする夏原を、ドン引きした目で5歳児と化した真鍋が見ていた。
「と、とりあえずどうするか…」
ワキワキと手を妖しく蠢かせながら、夏原が5歳児真鍋ににじり寄る。
「おじさん、はんざいですよ」
伸びてきた手をパンッ、と払い落とし、追い討ちをかけるように、ギュッとその手の甲を抓っている真鍋が、ムゥッと怒った顔をした。
けれども5歳児の力など、夏原には痛くも痒くもない。
「うっわ。つれなさ加減は大人の能貴と同じだけど、その表情はヤバイって!しかも何この可愛らしい抓りとか」
胸がキュンキュンして死ぬ、とほざいている夏原に、真鍋の顔がぷぅっ、と膨れた。
「ばかにして。あまりぼくをなめると、痛い目をみますよ」
言うが早いか、真鍋がタッとソファから立ち上がったかと思ったら、夏原のデスクに走っていき、その上にあったペン立てから、プラスチックの定規を引き抜いて戻ってきた。
「ん?」
「せいばいっ!」
ビシッ!
「っ、たぁっ!」
何をする気かと油断した夏原の隙をつき、真鍋が座禅の警策のように、その肩を思い切り引っ叩いた。
「おまっ…5歳にしてすでにどS?末恐ろしいな、まったく」
少しはブレろよ、と笑っている夏原は、それでもそんなことでは怯まない。
「まぁさすがは俺が惚れた能貴だ」
むしろ頼もしい、と、嬉々とし始める夏原に、定規を持つ真鍋の手がさすがに震えた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
57 / 233