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リクエスト12 暴走子羊と意地悪狼 1
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【本編338話、執筆後】
aya様よりリクエスト《もし、ドSの3人衆が翼にお仕置きしたらどんな感じになるのか》のお話です。
こんな感じになりました♡
6からR18ご注意下さい。
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「真鍋さんっ!俺と付き合って下さい!」
足を踏ん張り、腰に手を当てて、仁王立ちしながら、俺は幹部室にいた真鍋を見上げた。
「………」
ピクリと片眉を器用に持ち上げた真鍋が、無言で俺を見下ろす。
その目が「またあなたは何を言い出したのです?」と、呆れたように語っていた。
「ふざけているんでも、冗談でもないですからね。俺は本気です」
キッ、と真鍋を睨み上げ、俺は重ねて口を開く。
「俺と付き合って下さい」
はぁっ、と大袈裟な溜息をついた真鍋が、薄く目を細めた。
「お断りします」
「っ…」
取り付く島もない即答。だけど俺は諦めるわけにはいかない。
「お断りさせませんっ」
こうなったら多少強引でもいい。
俺は、目の前の真鍋にドンッと体当たりをして、スーツの胸倉を掴んで自分に引き寄せた。
「既成事実を先に作ってやる」
それから責任を取って貰う形でもいい。
ぐいと引き寄せた真鍋の顔に、伸び上がって唇を近づけた俺は…。
「はぁっ。ですから、痴話喧嘩は他所でおやりなさい」
むにゅっ、と唇が触れたのは、真鍋が呆れたように突き出した手のひらだった。
「っ…」
「まったく。今度は会長が何をなさったのです。その度にいちいち私を巻き込まないでいただけませんか」
この身がいくつあっても足りない、と苦笑する真鍋がムカつく。
「何をもなにも、浮気ですっ!火宮さん、昨日の昼間、すごい美人の女の人と歩いてて、朝まで帰って来なかったし、来たら来たで、女の香水の匂いをプンプンさせて!」
「………」
「しかもっ、極め付けはワイシャツについた口紅の跡ですからね!女の人とイチャイチャしてきて、キ、キスまでっ…」
だから俺も真鍋と浮気してやるんだ。
勢い込んで叫んだら、真鍋の目がますます冷たく俺を見下ろしていた。
「な、なんですかっ?」
「はぁっ、あなた、馬鹿ですか?」
「っーー!」
なんで。なんだその、心底疲れ果てたみたいな目は。
「会長が浮気?はっ、誰が見ても、本命のあなた以外は眼中にないあの方が?寝言は寝てからいいなさい。いえ、会長をお疑いになるなど、寝言でも許しがたいですね」
は?え?あの…なんであなたがピキピキと額に青筋を浮かべているわけ?
怒っているのは俺なのに!
「でもだって確かに!」
「ふっ、昨日の昼間の女性?あれは取引先相手の社長でしょう。ちなみに私もお2人のすぐ後ろにおりましたが」
「え…?」
真鍋さんもいた?
嘘だ。見えなかった。
「しかもさらに言わせていただきますと、あれ、男ですが」
「は?」
いやいやいや、だってすごい美人で、ロン毛で…。
「外国の方ですからね」
え?あれ?
そういえば、言われてみれば確かに髪の色は薄かったけれど…。
「それで?朝帰りに女の香水に、シャツに口紅でしたか?まぁ、昨夜は接待で日付越えでしたからね、その美人らしい男性社長と、渋々女性的な男性が接客してくれるようなお店で」
いわゆるオカマさんがお相手してくれるクラブとかそういう?
大人の世界で。
あくまでビジネスで、付き合いだったって?
「会長は好みませんが、相手社長の要望とあらば致し方ない。大事な取引先ですし、ビジネスとあれば割り切れるお方ですから」
じゃぁあれは全部仕事でのことで、店員のオネエさんの仕業を、俺が勝手にムカついただけ?
「っーー、でもっ、だけどっ」
事実を知ったところで、もう収まりがつかなくなった感情が爆発して…。
「誤解される火宮さんが悪いっ」
暴走した感情のまま、全体重を預けて真鍋に飛びついた俺は、さすがにガタンッ、と椅子に尻餅をつくように倒れた真鍋の上に乗り上がり、その肩に両手をついた。
ガチャッ。
「出迎えがないから、上がって来ぃちゃった。能貴、いるー?」
「おい。真鍋か池田、下に夏原が……」
満面の笑みで唐突に現れた夏原と、その後ろからたまたまやってきた火宮の声が響いた。
「ちょっ、能貴っ?火宮翼くんっ?」
「翼?これは何事だ」
あ、やばい。
どこからどう見ても、俺が真鍋に迫り、押し倒しているようにしか見えないだろう状態が分かって、今更ながらにサァッと血の気が引いた。
「つーばーさ」
地の底から響くような、火宮の重低音の呼び声が聞こえたけれど、俺は怖くてそちらを振り返れなかった。
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