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リクエスト15 バレンタインデー 2
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そうして門の辺りで豊峰と別れた俺は、迎えの車に近づいたところで、真鍋がその助手席のドアの横あたりに立っているのに気がついた。
「あ、真鍋さん」
今日は幹部様がお迎えなのか。
テクテクと車の側まで歩いて行ったら、ド派手な溜息が落とされた。
「お帰りなさいませ。はぁぁぁっ、やはり」
「え?」
「私が迎えに参りまして、正解でしたね」
「はい?」
開口一番、いきなり眉間を押さえて言われても…。
「とりあえず、車にお乗りになりまして、そちらの大量の荷物は、すべてこちらにお渡し下さい」
スッと車に押し込まれ、渡せと言いながら、鞄とバックは勝手に奪われる。
「え、あの…」
「なんでしょうか」
「いや、それ…」
確かに中には真鍋に渡せと預かってきたものはあるけれど、ほとんどが俺のなんだけど。
「はい?翼さん、まさか、こちらをお持ち帰りになるおつもりで?」
「え…?」
そりゃそうだろう。
だって俺がもらったものなんだから。
「はぁぁぁっ。悪いことは言いません。その身が大事でしたら、こちらは私に預けていって下さい」
え?それは一体どういう…。
真鍋の顔は、まったくふざけている風ではなく、大真面目な顔をしている。
「万が一にも、へらへらとこのような贈り物などを、会長の前にお持ち帰りになられてみて下さい?」
「あー?でもほとんど義理ですよ?」
「それは中には本命が、と、命知らずなご報告をして下さっているご自覚がおありですか?」
う。
「いやー、それはその…」
「お預かりいたします」
ピシリと冷たく宣言された言葉に、逆らう術は俺にはなかった。
『まぁどちらにせよ、このような不特定多数に無闇にもらった品など、そもそも翼さんのお口に運ばせるわけには参りませんしね…』
「え?」
「いえ、何も。それで、翼さん。行き先ですが」
何かブツブツと呟いていたように見えたけれど…。
シラッと無表情になっている真鍋を問い詰めても無駄だろう。
「えっと、あの、その…」
「会長への本命チョコをお求めになられに行くのでよろしいですね?」
「えっ?あ、はい」
確信的に聞いてくるこの幹部様。
さすが、デキる男は違うってか。
すでに抜かりなく、そういったお店の方に向かっているらしい車があっぱれだ。
「さすがすぎ」
きっと選んでくれるお店も間違いないんだろう。
どんな店に辿り着くのか、少しだけワクワクしながら、俺は車窓を流れる景色をぼんやりと見送った。
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