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リクエスト15 バレンタインデー 4
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✳︎
「ふふ。ひ、み、や、さーん」
喜んでくれるかな?
当然だ、って偉そうに受け取るだろうか。
朝には今日がバレンタインだということも忘れて、気にもしていなかった日だったけれど。
こうしてしっかりチョコレートを選んで買って来ちゃったら、今度はこのイベントが楽しくて仕方ないんだから俺も大概げんきんだ。
「どうした、翼」
「んー?あのですね、これっ」
ドキドキしながら、高級チョコレートの小箱を差し出す。
「俺にか」
「はい。えっと、その、バレンタインチョコ」
「ククッ、ありがとう。もちろん本命だな?」
「っ…当たり前ですっ」
ニヤリ、と笑いながら、すんなり受け取ってくれた火宮にホッとするけど、続いた意地悪な言葉はいただけない。
「おまえにしては奮発したな」
「あー、まあ」
さすがはセレブ様。チョコレートの包みだけで、どこのショコラティエの一品か、すぐに分かったらしい。
「ククッ、俺だけか?」
「えっ?」
「本命はもちろん、義理チョコなど配り歩いてはいないだろうな?」
スゥッと薄く目を細める火宮に、ゾクリと嫌な予感がして。
「く、配ってませんよ?」
大丈夫だ。嘘はついていない。
「ふぅん。もらっては?」
「え!…い、いいえ?」
ひぃぃ。
せっかく真鍋がフォローしてくれたけど、これ、なんだか誤魔化せる気がしない。
「ふぅぅん。まさかとは思うが、配ろうと、もしていないな?」
「っ!」
まさか真鍋さん、火宮さんに密告…なんて、わざわざ忠告してくれた真鍋がするわけないか。
「してませ…」
「嘘」
「えっ?」
「嘘をつくと、酷いぞ」
なっ…。
これってやっぱり、あれとかこれとか、完全にバレている感じ…?
「真鍋さん?」
「なにがだ」
「や、いや…」
「言っておくが、翼。おまえのその口より語る目。俺に嘘や隠し事ができると思うなよ?」
ひぃっ!
せっかくの甘い夜のつもりだったのに。
これはお仕置き宣言5秒前というやつで。
「ごめんなさいっ!もらいましたっ、義理チョコいっぱい。配ろうともしました!思い留まりましたけどっ」
こうなったら早急に謝って、罪状を軽くしてもらうしか…。
「ほぉ。義理チョコいっぱい、な。で、まさか、とは思うが、うっかり本命チョコまで受け取ってはいないよな?」
それは浮気だぞ、とこわぁいオーラを醸し出して下さる火宮様に、ピシッと固まるしかなかった俺は。
「なるほどな。覚悟しろよ、翼。デキる片腕が、とてもいいものをプレゼントしてくれたことだしな」
「えっ?真鍋さんが、何を…」
ニヤリ、と頬を持ち上げ、カサッと火宮が掲げて見せたのは、真鍋がお店で持っていた紙袋で。
「あいつなりに、どうにかおまえを庇いだてしていたらしいが。結局それが無駄になるだろうことも、あいつの中では予見済みの結果ということだ」
デキる男だろう?と笑う火宮は、やたらと愉しそうだ。
「っーー!」
「まぁ、そもそもおまえが義理だろうが、ましてや本命チョコなど、うっかり受け取った時点でこの結果は決まっていたが」
「それは…」
「仕置きだ、翼。俺以外にチョコを配ろうとしたこと、義理本命問わず、俺以外の人間からチョコなどを受け取ったこと。たっぷり反省するといい。その身をもってな」
ニヤリ、とサディスティックな笑みを浮かべた火宮のお仕置き宣言に、俺の悲鳴が響き渡ったことは、言うまでもない。
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